血管の拡張による拍動性のズキズキした痛みが特徴の片頭痛。痛みにいつ襲われるかと不安な人もいるかもしれない。だが、実は意外なものが片頭痛を招いているケースもあるため、その要因を取り除けば今よりも多少は改善される可能性もある。
今回は、高島平中央総合病院の福島崇夫医師に片頭痛を招く要因や対処法について伺った。
飲酒やチョコレートは危険
片頭痛は「寝不足」「ストレス」「気圧の変化」などが原因と考えられている。また、「全体的に感覚が研ぎ澄まされている人が片頭痛の患者には多い」ことから、片頭痛を誘発する因子として「まぶしい光」「におい」「大きな音」「人混み」などもある。
さらに意外かもしれないが、私たちが日常食べている食品も片頭痛を招いている可能性があるのだ。
「飲酒は特に片頭痛の誘発因子になるとされています。特に赤ワインは『ポリフェノール』という血管拡張物質が含まれているので注意が必要です。チョコレートやチーズ、ソーセージなどの保存食には血管に作用する物質(チラミン・亜硝酸化合物)が含まれているため、ズキズキした痛みをうむ血管の拡張を促します。中華料理などに含まれ、うま味成分として知られる『グルタミン酸』も同様です。食べ過ぎると、頭痛などを伴う『チャイニーズ・レストラン・ シンドローム』を引き起こします。また、頭痛持ちの人はそうでない人に比べ、脂っこい食べ物やコーヒー、お茶の消費が多いことが報告されています」。
普段から頭痛に悩まされている人は、これらの食材を食べる際は気をつけるようにしよう。
片頭痛の対処法
福島医師が「今は予防薬や誘発因子改善などで頭痛がコントロールできる」と話すように、痛みを引き起こす原因を把握しておくことが片頭痛の対処法の一つだ。
今回紹介したものの他にも、女性の場合は「月経随伴性頭痛」のように生理に伴うものも含まれるなど、その原因は多岐にわたる。頭痛になった前後の自分の行動をきちんと把握し、誘発因子を特定できたらそれを避けるように努めよう。
そしてもう一つは適切な薬の飲み方を知ることだ。片頭痛の治療薬にはトリプタン製剤や鎮痛剤などがある。これらは処方薬だが、今は頭痛薬が薬局などで手軽に購入できる。そして、市販の薬でもある程度の痛みはコントロールできる。
手軽に頭痛薬が購入できるようになった反面、一歩間違えると頭痛の程度が悪化する「薬物乱用頭痛」になりかねない。そのためにも福島医師は、「適切に医療機関を受診して、薬の飲み方を知ってもらいたいです」と切実に願っている。
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記事監修: 福島崇夫(ふくしま たかお)
日本大学医学部・同大学院卒業、医学博士。日本脳神経外科学会専門医、日本癌治療学会認定医、日本脳卒中学会専門医、日本頭痛学会専門医、日本神経内視鏡学会技術認定医。大学卒業後、日本大学医学部附属板橋病院、社会保険横浜中央病院や厚生連相模原協同病院などに勤務。2014年より高島平中央総合病院の脳神経外科部長を務める。