ドイツのフォルクスワーゲンAGは、米国で発覚したディーゼルエンジンの排気ガス検査の不正に関して、複数の声明を発表している。不正があったことを認めると同時に、EUで販売している車両については不正はないとしていた。同社CEO、マルティン・ヴィンターコルン氏は辞任を表明している。

フォルクスワーゲンはディーゼルエンジン排ガス不正問題で複数の声明を発表している

フォルクスワーゲングループのディーゼル車に、排気ガス検査時のみ、排気ガスを減少させる不正なソフトウエアが搭載されていた問題で、同社は不正の事実を認めた。問題のエンジンマネージメントソフトウェアは同社グループの他のディーゼル車にも搭載されていることがわかったとも発表している。

ただし、大半のモデルはこのソフトウェアによる影響はなく、問題が発生するのはEA189タイプのディーゼルエンジンのみ。このエンジンは全世界で約1,100万台の車両に搭載されているという。同社はこの問題に対応する費用として、約65億ユーロの引き当てを行う予定。この金額は今後見直される可能性があるとしている。同時に2015年の利益目標も修正される見込み。

同社のCEOであるマルティン・ヴィンターコルン氏は数回にわたって声明を発表し、「これらの結果を非常に真摯に受け止めています。私たちが、お客様ならびに多くの皆様の信頼を裏切ったことに対して、私は心よりお詫びを申し上げます」とした。さらに、「何よりフォルクスワーゲングループ内で、これほどの規模の不正が可能であったことに強い衝撃を受けています」と述べ、監査役会にフォルクスワーゲングループのCEOとしての職を辞することへの同意を求めたという。

監査役会は、この問題について議論した結果を9項目にわたって発表。経済的損害だけでなく信頼を失ったこと、信念を持って問題の解明に取り組むことなどがその内容で、ヴィンターコルンCEOの辞任の申し出については、同氏が今回の不正を知らなかったと認識しているが、辞任の意思を尊重するとしている。

また、監査役会は、会社としてブラウンシュヴァイクにある検察当局に告発状を提出する。今回の不正は刑事手続に相当する可能性もあると見ているためで、フォルクスワーゲンは検察当局の調べに全面的に協力するとしている。