新日鐵住金は30日、2012年4月19日に、韓国の鉄鋼メーカーであるポスコ(以下、「POSCO」)等に対して、新日鐵住金の方向性電磁鋼板に係る営業秘密の不正取得、不正使用等を理由に、不正競争防止法等に基づき、損害賠償及びPOSCO等による方向性電磁鋼板の製造、販売等の差止め等を求める民事訴訟を東京地方裁判所に提起した件について、当該訴訟を含め、新日鐵住金とPOSCO等との間で係属中の3件の訴訟について、POSCOと和解に合意したと発表した。
和解対象の3件の訴訟は次のとおり。
東京地方裁判所
提訴年月日:2012年4月19日
原告:新日鐵住金
被告:POSCO、日本法人POSCO Japan株式会社(以下、「POSCO Japan」)及び新日鐵住金元従業員1名
請求原因:新日鐵住金の営業秘密の不正取得、不正使用等
請求内容:986億円の損害賠償及び製造、販売等の差止め等
米国ニュージャージー地区連邦地方裁判所
提訴年月日:2012年4月24日
原告:新日鐵住金
被告:POSCO及び米国法人POSCO America社(以下、「POSCO America」)
請求原因:新日鐵住金特許権の侵害等
請求内容:損害賠償及びPOSCO製方向性電磁鋼板の米国内への輸入差止め等
大韓民国大邱地方法院浦項支部
提訴年月日:2012年7月19日
原告:POSCO
被告:新日鐵住金
請求内容: 東京地方裁判所で新日鐵住金が主張する請求権の不存在の確認
新日鐵住金によると、上記の訴訟において、新日鐵住金は、これまで相当の証拠を提出するなど請求内容の主張・立証に努めてきたが、今般、訴訟の進行状況等も踏まえ、所期の目的を一定程度満たすに足る条件を確保することができたものと考え、和解に合意することにした。
和解の条件には、POSCOから新日鐵住金に対する300億円の和解金の支払い、新日鐵住金とPOSCO、POSCO Japan及びPOSCO Americaとの間の上記3件の訴訟の取下げ等の内容が含まれており、30日、新日鐵住金は和解金の支払いを受け、上記訴訟はすべて取り下げられた。
新日鐵住金とPOSCOとは、2000年に戦略的提携契約を締結して以来、研究開発・技術交流・原料調達等多くの分野で成果を上げており、現在も提携関係にある。両社は、戦略的提携契約を2018年8月1日まで、さらに3年間更新している。
新日鐵住金元従業員1名に対する東京地方裁判所における訴訟については、新日鐵住金は、従前どおり、新日鐵住金の請求を実現すべく訴訟を遂行していくという。
新日鐵住金は、同社のグローバル競争力の源泉である技術先進性を確保していくため、今後とも必要な措置を講じていくとしている。