怒ったときは「気持ちをずらす」

失敗だらけとは言いながら、今では『伸びている女性がやっている感情整理の新ルール』(KADOKAWA)という本を書くまでになった関下さん。

――怒っているときに、気持ちをずらすにはどうしたらよいのでしょう?

怒り、悲しみ、ねたみ、不安など、ネガティブな気分にどっぷりと浸ると、悲劇のヒロインみたいになってしまいがちですよね。そういう感情は自然に湧いてくるものですから、無理に振り切ろうとせず、受け入れてしまえばいいんです。

その代わり、頭のどこかに「この状況が一生続くわけではない」と思えるすき間を作っておくこと。自分なりに気持ちをずらせるポイントを作っておくといいですね。例えば、イラっとしたら、自分の仕事ではなくても、郵便物をみんなに配ってみるとか。とにかく動いてその場を一瞬でも離れるのです。ネガティブな感情だけを相手にしていると、そのスパイラルからどんどん抜け出せなくなってしまいますから。

お局さまと呼ばれないために

――仕事をがんばるアラサー女性が恐れているのは、「お局さま」というあだ名です

「お局さま」、いいじゃないですか。年齢を重ねて、ある程度のキャリアをもてば、誰だってお局さま的ポジションになりますよ。そう呼ばれるのを恐れて、後輩に必要なアドバイスもできないようでは、仕事にならないでしょう?

――関下さんもお局さまと呼ばれたことが?

「お局さまになったんだ……」と実感したことはあります。若い同僚に、ランチに誘われなくなったんです。寂しいな、どうしてだろうと考えていたら、急に「ああ、私煙たいんだ!」とわかってしまいました。それからは、自分から後輩を誘うようにしました。大勢ではなく1人だけ誘って、じっくり話を聞いてみるとか。それはそれで、深いコミュニケーションが取れてよかったですよ。

――お局さまらしく振る舞うようにしたのですね

仕事ができるプロなのだから、いつまでも若い子ぶっているのは変ですから。でも、煙たがられて嫌われてはもったいない。後輩には優しくして、人間的に尊敬されて、キャリアのロールモデルになれれば最高です。それに、後輩にだって優秀な人材はいますから、先輩風を吹かせてばかりではなく、謙虚に後輩から学ぶ姿勢も大切ですよね。

もうひとつ大切なのは、"女を捨てない"こと。お局さまと言ったって、オジサンになるわけではないのですから、休日出勤の日にジャージにすっぴんでくるようではダメ。どうせなるのなら、チャーミングなお局さまを目指しましょうよ。


関下昌代
熊本県生まれ。熊本県立第一高校卒業後、住友信託銀行へ入行。その後、派遣・契約社員を経て、1989年シティバンク銀行へ転職。クレジットカード部門、銀行法人部門を経て、2001年人事部人材開発部門のアシスタント・バイスプレジデントに昇格。在職中に立教大学大学院で異文化コミュニケーション学修士取得。11年より神奈川大学非常勤講師。著書に『伸びる女と伸び悩む女の習慣』(明日香出版社)、『伸びている女性がやっている感情整理の新ルール』(KADOKAWA)ほか。ブログ:「伸びる女!」になる秘密