ベトナムの名字事情は日本と違う?

なかなか知る機会のない外国の名字事情。日本で一番多い名字は「佐藤」さんだが、他の国ではどうなのだろう。今回は、ベトナムの名字ランキングを紹介しよう。

上位3つの名字でおよそ58.5%

ベトナムで最も多い名字は「阮(グエン)」さんで、およそ3,176万2,300人。人口比では38%を占める姓で、ベトナム国内のおよそ2.5人に1人が「グエン」さんという計算になる。中国でも見られるため、世界でもベスト5に入る名字だ。

2位はおよそ919万4,400人の「陳(チャン)」さんで、人口に占める割合は11%。3位の「黎(レー)」さんは794万600人で、割合は9.5%となった。

これら上位3つの名字だけでベトナムの人口のおよそ58.5%を占め、およそ30万種の名字がある日本とは対照的ともいえる。名字の種類も、日本の0.3%に満たないのだ。ちなみに、日本で最も多い名字は「佐藤」さんで、全人口に占める割合は1.61%。また、日本国内上位10位までの名字が占める割合は10%程度だが、ベトナムでの上位10位までの名字はなんと人口の84.6%を占める。

ベトナムの名字ランキングトップ10

ベトナム独特の名字事情も

日本の名字は地名や職業に由来することが多いため各地で名字が発祥したが、ベトナムの名字は王朝の姓に由来したものが多いとされている。実際、上位3つの名字は王朝名に由来するものだ。特に「グエン」姓については、当時の王朝の政権交代により、強制・半強制的な改姓が行われたことが多くなった理由とされている。

また、ベトナム人の名字は血縁関係を表すものではなく、社会的にはそれほど重要な意味を持たない。名前の構造も「名字(姓)」「ミドルネーム」「名前(ファーストネーム)」という3層になっており、姓は1字(まれに2字以上)で成立するという独特の形態を持っている。通常は父親の名字を受け継ぐが、時として父母の両方の名字を並べて用いるなどのケースも存在するようだ。

日本の名字ランキングトップ30

「グエンさん」と呼ぶとクラスや職場の4割の人が振り返る光景は、同じ漢字でも読み方ひとつで異なる名字を有する日本人からすると不思議に感じるかもしれない。

※ランキングは、月間400万アクセスの「名字由来 net」アプリと「名字由来 net(Web)」の名字データベースから、電話帳データをもとに実世帯が確認できるもののみを集計し、人数の多い順に抽出。100人未満四捨五入により算出している。ベトナムの名字は、"Ho va ten cua nguoi Viet Nam"を元に独自に算出した。本文と写真は関係ありません

筆者プロフィール: 名字由来net(リクルーティング スタジオ株式会社)

月間400万アクセスの「名字由来net(アプリ・Web)」や月間200万アクセスの「無料 赤ちゃん名づけ」アプリなど名字・名前・家系図に特化したサービスをアプリとWebで提供している。「名字由来net」はApp Store総合第1位200万DL、「無料 赤ちゃん名づけ」はApp Store、Googleplayジャンル第1位の実績。名字情報を活かした人気シミュレーションゲームアプリ「戦国村を作ろう!」、「世界村を作ろう!」に引き続き、2015年3月には「幕末村を作ろう!」をリリースした。また、調査・作成した家系図デジタルデータを半永久的に保管・管理できる「家系図作成サービス(生涯データサポート)」をスタート。さらに、2015年から日本初の「簡易武士調査」サービスを開始した。