JR東日本の新型車両E353系量産先行車の試運転が29日、長野県内で実施された。付属編成3両(S201編成、1~3号車)・基本編成9両(S101編成、4~12号車)の計12両が落成し、7月25日に総合車両製作所横浜事業所を出場していた。
試運転は松本駅から篠ノ井線・中央本線経由で岡谷・上諏訪方面へ、2往復ほど行われた様子。中央本線沿線では、試運転の情報を知った鉄道ファンも多数駆けつけた。12時すぎにE353系量産先行車が茅野駅2番線に入線すると、その直後にE351系の特急「スーパーあずさ11号」が1番線に到着。中央本線の新旧特急用車両が並ぶ場面も見られた。E353系量産先行車は12時40分すぎに茅野駅を発車し、上諏訪・岡谷方面へ折り返していった。
特急「スーパーあずさ」で活躍するE351系の置換えを目的に製作されたE353系量産先行車は、E351系の「振り子式車体傾斜方式」とは異なる「空気ばね式車体傾斜方式」を採用しながら、E351系と同等の走行性能を実現。最高速度は時速130kmとされた。走行中の振動を低減する動揺防止装置を一部の先頭車とグリーン車に搭載し、乗り心地も向上。室内照明にLEDを採用するなど、消費電力の低減も図られる。
12両編成のうち、基本編成の9号車がグリーン車、他11両が普通車。各座席にパソコンを置けるテーブルとコンセントが設置されるという。試運転で茅野駅に停車中、一部車両のカーテンが開けられ、青を基調とした普通車の座席、赤を基調としたグリーン車の座席など、車内の様子を少しだけ見ることができた。