2人組テクノユニット・電気グルーヴの約25年に及ぶ活動を追った、初のドキュメンタリー映画『DENKI GROOVE THE MOVIE? ~石野卓球とピエール瀧~』が、12月に公開される。

電気グルーヴ(左:ピエール瀧 右:石野卓球)

本作は、結成初ライブや数々の記録映像、当時を振り返るメンバーのインタビュー、最新のライブの模様などで構成。かつて電気グルーヴのメンバーであった砂原良徳とCMJK、ケラリーノ・サンドロヴィッチ、スチャダラパー、山口一郎(サカナクション)、小山田圭吾といったアーティストの出演も決定している。さらに、FUJI ROCK FESTIVALを主催するスマッシュの代表・日高正博氏や音楽誌『rockin'on』『ROCKIN'ON JAPAN』(いずれもロッキング・オン)の編集長・山崎洋一郎氏など、電気グルーヴを取り巻くスタッフらの証言も織り交ぜ、その歴史に迫る。

メガホンを取るのは、これが初のドキュメンタリー映画となる大根仁監督。映画『モテキ』(11年)や『恋の渦』(13年)、テレビ東京系ドラマ『まほろ駅前番外地』(13年)などを手がけたことで知られる一方、音楽シーンやサブカルチャーにも造詣が深いことから、メンバーたっての希望で監督に起用した。

大根監督は電気グルーヴについて、「いちばん面白くて、いちばん狂っていて、いちばんカッコ良い先輩たちは、同時にいちばん近づきたくない、すなわちいちばん仕事をしたくない存在」と形容。2014年春、映画企画をマネージャーの道下氏に告げられた際は、「赤紙招集のような、恐怖新聞が届いたような気持ち」だったという。自分が断ったらどうなるのかと道下氏に聞くも、「2人から挙がったのは大根さんの名前だったんですよ」という返答に監督は絶句。「いちばんカッコ良い先輩たちが、怖い批評家でもあることも知っているオレは、この仕事に『地獄』を予感しました」と相当なプレッシャーに襲われたようだ。

しかし、それでも踏みとどまれたのは、「サブカル世代の合い言葉である"でもやるんだよ!"」の精神。昨年のFUJI ROCK FESTIVALから撮影を始め、過去25年分、250時間に及ぶ膨大な映像素材をチェックして、本格的に編集を開始したのは2015年春ごろ。しかし、電気グルーヴの歴史を短期間でまとめることは困難を極め、予定していた公開時期が夏から冬にずれ込んでしまう。その上、近頃メンバーに会った際、石野からは「頼んだ覚えはない」、瀧からは「任せる。出来上がりを観て文句を言う」と、まさに電気グルーヴ節と言ったようなブラックジョークを飛ばされる始末で、監督は「誰かこの仕事代わって!」と悲鳴交じりのコメント。現状については、「今、出来上がった作品を見て思うことは…っていうか、まだ出来上がっていません!」と正直に報告している。

なお、電気グルーヴと大根監督が映像作品に着手していることは、2月発売のシングル「Fallin'Down」の初回盤DVDに収録されたシークレット映像「COMING 2015 SUMMER TRAILER」の中で既に発表済み。このたびの全国公開は、続報を待ちわびるファンで埋め尽くされた7月13日のワンマンライブ終演後、突然流れた映像によって正式に発表された。

電気グルーヴは、前身バンド・人生(ZIN-SAY!)を経て、1989年に結成。幾度かのメンバーチェンジを重ねて、現在は、コンポーザーでありDJとしても国内外から高い評価を受けている石野卓球と、TVや映画などの俳優業でも知られるピエール瀧の2人で活動している。結成時からテクノやニューウェーブを基調とした楽曲と奇想天外なパフォーマンスで話題を集め、90年代には「N.O.」(1994年)や「Shangri-La」(1997年)などでシングルヒットを記録した。その後、活動休止期間を設けながらも、コンスタントにアルバムをリリース。2014年のFUJI ROCK FESTIVALのGREEN STAGEでは、邦楽アーティスト唯一のヘッドライナークラスとして出演を果たした。

(C)2015 DENKI GROOVE THE MOVIE? PROJECT
photo:Miyu Terasawa