ケガや病気で入院、手術などが必要になったとき、十分な備えがなければ安心して治療に専念できません。そんな不安を解消するのが医療保険。さまざまな種類や特約がありますが、どう選んでいいか分からないという人も多いでしょう。医療保険のメリット・デメリットを知るべく、加入の際に確認したいポイントや、保険料の目安などをチェックしておきましょう。
医療保険って必須なの?
病気やケガの入院が長引いたり、手術が必要になったりしたときに保障をしてくれるのが、民間の医療保険。「医療保険は必須」と考える人も多いようですが、保険は現金などの備えが無い場合に必要なものです。
例えば公的健康保険には、自費で医療費を支払った後に自己負担限度を超えた分が戻ってくる「高額療養費制度」や、業務外の病気やケガで療養中などの条件を満たした際に給付される「傷病手当金」など、医療費や生活を補助する制度もあります。不安だからと高い保険や不要な保険に加入すると、家計を圧迫するので注意が必要です。「貯蓄が少ない」「やはり長期入院などのリスクに備えたい」という場合に加入を検討しましょう。
定期預金と掛け捨て型の医療保険の組み合わせが人気
医療保険には、貯蓄型と掛け捨て型がありますが、今は貯蓄型の商品が少なく、掛け捨てが人気です。「貯蓄は定期預金などで行い、医療保険は掛け捨てで保険料を抑え、必要最小限の保証を確保する」という考えが、昨今の主流となっています。掛け捨ての医療保険には「定期保険」と「終身保険」があり、入院1日につき定額が給付される「入院給付金」、手術1回あたりに給付される「手術給付金」などが受け取れます。
一定期間を保障する定期保険は、定期的に更新するのでその都度内容を見直せますが、年齢が上がるにつれて保険料が高くなります。終身保険は、加入時の保険料が払い込み満了時まで変わらず、保障が死亡時まで続きます。「ある程度の貯蓄がたまるまで」「子どもが幼いうちだけ」など、一定期間のみ医療保障を付けておきたい人は、定期保険を選ぶと保険料が安く抑えられます。
自分の不安に見合った特約を付けられる
保険料は、入院給付金や手術給付金の額で変わってきます。例えば、「入院給付金が1日5,000円、手術給付金が1回10万円」の給付なら、保険料の月額は1,500円~2,500円程度(加入時30歳前後の場合)となります。これが「入院給付金が1日1万円」になると、2,500円~3,500円程度になります。
この入院給付金+手術給付金を基本セットとして、プラスアルファとしてさまざまな特約が用意されています。子宮、乳房など女性特有の病気に備える「女性特約」、最新の医療技術で、健康保険の対象外となる治療に備える「先進医療特約」などが一例です。
人によっては「高度な治療に莫大(ばくだい)な費用がかかるかも……」と心配になるかもしれませんが、先進医療は技術や条件、受けられる病院も限定されており、実際に利用して給付を受ける確率はかなり低めという現状があります。ただ、保険料は月額100円程度なので、「いざ」というときのため、不安解消に付加したいという人は検討してみましょう。
そのほかにも、入院給付金の支払い限度を超えて入院が続いたときに入院給付金が受け取れる「長期入院特約」、入院給付金を受け取って、さらに退院したときにも給付金が受け取れる「退院給付特約」など、実に多彩な特約が用意されています。
どの特約も数百円程度で付加できますが、あれこれ付けるとあっという間にまとまった額になります。基本契約部分で必要な保障を用意したら、あとはできるだけシンプルにするよう心掛けましょう。
医療保険の検討は慎重に
医療保険は、貯蓄が少なくてもさまざまなリスクに対して備えられるメリットがあります。一方で、加入となれば一定金額を「将来の不安」のために毎月投資することになり、家計に負担がかかるというデメリットもあります。加入するか否かは、自分の現状や未来の将来設計なども含めて検討するのがいいでしょう。
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筆者プロフィール: 武田明日香(たけだ あすか)
エフピーウーマン所属、ファイナンシャルプランナー。日本テレビ「ZIP!」やTBSテレビ「あなたの損を取り戻せ 差がつく! トラベル! 」、「Saita」「andGIRL」等の雑誌、「web R25」「わたしのマネー術」等のウェブサイトなど幅広いメディアを通じ、お金とキャリアの両面から女性が豊かな人生を送るための知識を伝えている。お金の知識が身につく初心者向けマネーセミナー受付中(受講料無料)。