国際労働機関(以下、ILO)は19日、2015年版「世界の雇用および社会の見通し」を発表した。それによると、世界の労働者のうち、正規雇用者は全体の4分の1にとどまり、4分の3は短期契約や臨時契約、インフォーマルな仕事や独立自営の請負労働、無給の家族労働に従事していることがわかった。

期間の定めのない雇用契約で働く労働者の割合を示す世界地図(出典:ILO Webサイト)

世界86カ国で、週30時間未満のパートタイム就労は就業者全体の17%以上に達し、過半数の国で2009~2013年の期間にフルタイム就労を上回る伸びを記録。さらに、正規雇用者とそれ以外の労働者との所得格差はこの10年で拡大したことも明らかになった。

世界の雇用成長率は2011年以降、年約1.4%に低迷。このうち欧州連合(EU)では2000~2007年は年平均0.9%に、その他先進諸国では2008年以降はわずか0.1%に落ち込んでいた。

リーマン・ショック以降に減少した就業者数は、2014年に全世界で6,100万人と推定され、この73%近くが女性就業者の減少による。この就業者数の差は賃金総額に大きな影響を与えており、世界全体で失われたとされる推定1兆2,180万ドルの賃金額は世界の年間総生産高の約1.2%、総消費額の2%近くに当たるという。

報告書は、就業者数の減少幅を縮小させた場合、賃金増、消費増などの相乗効果により、世界の生産高の3.6%に当たる3兆7,000万ドルが世界のGDP合計額に追加されると試算している。