東芝はこのほど、路面電車向け蓄電システムによる架線レス走行試験を実施し、架線からの電力供給を停止した状態で約10km走行したと発表した。
この走行試験では、同社が製造した24.3kWhのリチウムイオン二次電池「SCiB」を採用した蓄電システムを鹿児島市交通局所有の1000形路面電車に搭載。車両のパンタグラフを下げて蓄電池からの電力供給だけで走行させ、鹿児島駅前停留場から郡元停留場までの折返し運転に成功したという。
同社の説明によれば、従来は架線から直接充電する場合は大型の充電装置を必要としていたが、今回の試験では車両の照明や空調などの電源用に変換する補助電源装置に充電器をつなぐことで充電器を小型化。これにより、それまで車両の床下などに搭載していた蓄電システムを座席の下に設置できるようになるため、既存車両への蓄電システム搭載が可能になるという。停電時に自力走行できることに加え、路線延伸の際にも架線工事が不要となることから、都市景観保護地域や架線が交通の妨げとなる場所での活用が想定される。