――これまでの撮影で、特に印象に残っているエピソードはありますか?

竹内:剛の登場回(第12話、第13話)ですね。ここで、これまでの進ノ介の異なる一面が出せたなって実感したんです。第1話からずっと仮面ライダーとしてやってきた進ノ介の前に、さらにとんでもない奴=マッハが現れた。この時に、進ノ介自身に少し成長した部分が見られたんです。石田秀範監督に出会って、今まで自分がやってきたことをいい意味でぶち壊してくれたというか、自分自身がもう一段階成長できたと思っています。言葉に表せない、手応えを感じたエピソードです。

稲葉:それ、わかるなあ。第13話のラストで進ノ介が剛に「俺がお前のブレーキになる」っていうところがあって。あの台詞を聞いて進ノ介の成長が見えたし、とてもカッコよかった。ああ、『ドライブ』の世界に入りこめてよかったなと思いました。出演が決まり、第1話から台本と映像をチェックしていましたが、この『ドライブ』の世界に自分が加わる以上は、とにかく面白いキャラクターを演じなければいけない。何かを持ち込まなきゃ! と思っていたんです。台本に書いてあるとおりに芝居をすることが大事だと思いますけれど、自分の演技によって台本以上のものを出していきたい、表現したいと考えていました。

竹内:剛のキャラクターは、観ていてスカッとするよね。敵を前にしていちいちポーズ決めながら名乗るところとか(笑)。

稲葉:石田監督からは「マッハは歴代最強の"2号ライダー"だ」と言われたことが、グッときました。そう言われたからには、俺は歴代最強だぞっていう気持ちで、キャラクターが持つ自信を大事にしようと。あのテンション高めの"名乗り"についても、何も自分で考えず「どうすればいいですか?」と尋ねるのは簡単です。そこに変化をつけるべく、自分なりのスタイルを持ち込んだらOKが出たんです。それからは、毎回観てくれる人が面白がったり、楽しんでくれるキャラクターを目指しながらも、なるべくブレずにやろうと思っています。幸いなことに、皆さん「よかった」と言ってくださるので、安心してやっています。

――そしていよいよ3月21日からは『スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号』が公開となりますね。TVシリーズと並行した撮影は、それぞれの役柄の立ち位置に難しさはありましたか?

稲葉:映画とTVシリーズでは撮影スタッフが異なりますので、現場のスタッフさんの顔ぶれを見ると「今は映画だな」とわかりますが、ごくたまにTVシリーズを撮りながら、映画の時の剛の感情を引きずっている瞬間がありますね。前後の関係がない、言わばパラレルワールドだと思っていながらも。

竹内:特に、映画では独自の世界観がありますから、明確に違うとわかっていても、ついTVシリーズでの感情が入っていきがちだよね。

――竹内さんのおっしゃるとおり、今度の映画では「仮面ライダー3号=黒井響一郎の出現によって仮面ライダーの歴史が変わる」という思い切った世界観で、進ノ介をはじめとする特状課の面々もショッカーに支配されている、という設定で始まりますね。

竹内:ショッカーに支配された中での警察官なんです。難しい部分もありましたが、パラレルワールドだからTVシリーズのことはいいか! と割り切っていた部分はありますね。

稲葉:台本を初めて読んだ時は、正直とまどいましたね。この話、どうなってしまうんだ? と。

竹内:最初は、あたふたして。

稲葉:ネタバレになってしまうので伏せますが、剛の身の上にとんでもないことが起きるし(笑)。

竹内:これはもう、映画をご覧になってから驚いてほしいですね。テレビとはまったく展開が違いますから。

稲葉:剛の運命については、『仮面ライダー4号』に引き継がれるそうですので、そちらで完結すると聞いています。先着100万人の入場者プレゼントになっているとのことで、この映画を見た後にぜひお楽しみいただければと思います。