日本銀行は11日、同行審議委員の白井さゆり氏が3月中旬に欧州で行った講演「緩やかなインフレ経済への転換に向けて ―企業と家計のインフレ予想の現状―」の内容を発表した。それによると、同委員は日銀が目標に掲げている2%の物価上昇を達成する時期について、「不確実性が高まっている」と指摘した。

日本の物価見通しに関するリスクについては、原油価格の下落、企業による販売価格の抑制、予想物価上昇率のタイミングの後ずれ、または不安定化の3点を挙げ、「物価上昇率が2%程度に近づくタイミングについては、直近の見通しから後ずれする可能性を含めて、不確実性が高まっている」と述べた。

一方、物価上昇率の一時的な低下については、2014年10月の追加緩和もあり、「物価の基調や国内需要の回復ペースが持続している限り、容認し得る」との考えを示した。

同委員は、2015年3月4日に経済シンクタンクのブリューゲル(ベルギー)、6日に欧州中央銀行、10日にイングランド銀行にて講演を行った。