年末に行われた全日本選手権が終了して1カ月あまり。国内では年始より、インカレ・インターハイ・国体などの全国規模の大会が連続して行われ、いよいよフィギュアスケートシーズンも終盤に差し掛かってきました。そこで今回は、2月12日から韓国・ソウルで開幕する『四大陸選手権』について紹介します。
世界選手権の前哨戦的存在
四大陸選手権とは、名前の通りヨーロッパ(ロシア含む)を除く国と地域から参加する国際大会で、アジア・アフリカ・アメリカ・オセアニアの4つの大陸の選手に参加資格があります。1月末にはヨーロッパ選手権が開催されていましたが、四大陸選手権と合わせ、どちらも3月に行われる世界選手権に向けての前哨戦と言っても過言ではないくらい、ハイレベルな戦いとなっています。世界ランクに関わるポイントも高く設定されており、注目度も高い大会です。
この大会はグランプリシリーズとは異なり、各国の最大出場枠が決まっており、それぞれ国内大会を勝ち抜いた選手だけが参加できます。日本からは無良崇人選手、村上大介選手、宇野昌磨選手、宮原知子選手、本郷理華選手、永井優香選手、キャシー・リード&クリス・リード組、平井絵己&マリオン・デ・ラ・アソンション組、高橋成美&木原組龍一組が出場します。
体力面と精神面での"課題"を乗り越えられるか
どの選手も、シーズン前半の国際大会で結果を残してきている選手ばかりです。ただ、宇野選手、永井選手はシニアの国際大会はこの四大陸選手権が初めてとなります。2人ともジュニアグランプリシリーズではファイナルに進出し、世界ジュニア選手権の代表にも選ばれています。
ジュニアとシニアではフリーの競技時間が30秒違うため、体力作りも大事になってきます。また、参加する年齢層が変わり試合の雰囲気もガラリと変わるこの大会では、雰囲気にのまれないことも重要なことの1つだと言えます。
私は2007年2月に、アメリカのコロラドで行われた四大陸選手権に出場しました。トリノ五輪の翌年ということもあり、全日本選手権の時点から派遣選手が注目されていたり、今までの国際大会とは雰囲気が違ったりしていることは肌で感じていました。
また、前年の世界選手権チャンピオンのキミー・マイズナー選手も出場しており、まさに世界選手権の前哨戦という形でした。私はショートの最終滑走者だったのですが、ノーミスで演技を終えた瞬間は、大きな会場で無事に演技を終えられてホッとしたことを覚えています。それだけ独特な雰囲気が漂う大会なのです。
ニューフェースの活躍に期待
そんな四大陸の連覇がかかる無良選手や、昨年末の全日本選手権を制し、日本女子のエースとして戦う宮原選手、グランプリシリーズ優勝者の村上選手・本郷選手もシーズンを通して新たな目標や、戦略ができていると思います。厳しい代表争いを勝ち抜いたことを自信に、活躍を期待したいです。
先日にアメリカ選手権、カナダ選手権のシングル選手のニュースを耳にしましたが、アメリカ選手権では男子のジェイソン・ブラウン選手、カナダ選手権では女子のカブリエル・デールマン選手、男子のナム・ニューエン選手がそれぞれ初優勝をしました。
日本でもシニアの大会に出場する顔ぶれが変わったなと感じていましたが、アメリカ・カナダでも同様のことが起きているのだなと感じました。五輪シーズンの翌年は例年顔ぶれが一変するのですが、今大会でもニューフェースの選手たちがそれぞれ飛躍的な活躍をしてくれるのではと期待しております。
取材協力: 澤田亜紀(さわだ あき)
1988年10月7日、大阪府大阪市生まれ。関西大学文学部卒業。5歳でスケートを始め、ジュニアGP大会では、優勝1回を含め、6度表彰台に立った。また2004年の全日本選手権4位、2007年の四大陸選手権4位という成績を残している。2011年に現役を引退し、現在は母校・関西大学を拠点に、コーチとして活動している。