東京商工リサーチは5日、2014年12月の「円安」関連倒産調査(速報)の結果を発表した。それによると、12月の「円安」関連倒産は前年同月比38.3%(5件)増の18件となった。全体の倒産が、中小企業に対する年末資金の円滑化が図られるなどで抑制され、前月(21件)より3件減少した。

2014年(1~12月)の「円安」関連倒産は278件で、前年同期比100.0%増と前年(139件)の2倍に増えた。産業別に見ると、運輸業が100件(構成比35.9%)で最も多く、人手不足による人件費上昇や燃料価格の高止まりが影響したと考えられる。以下、製造業が58件(同20.8%)、卸売業が49件(同17.6%)、サービス業他が27件(同9.7%)、小売業が17件(同6.1%)と続いた。

円安関連倒産月次推移

日銀の追加金融緩和の決定以降、円安に拍車がかかっており、2014年12月5日の外国為替市場は一時1ドル=121円台まで円安が進み、2007年7月以来7年4カ月ぶりの円安水準を記録した。急速な円安は、輸出企業の収益を押し上げる一方、海外からの輸入に頼るエネルギー、資源、食料品など幅広い分野で物価が上昇し、中小企業の体力を削っている。

東京商工リサーチは「業績回復の遅れに加え、円安によるコストアップが収益悪化を招き、一層の業績下振れが危惧される」と指摘。原油価格の急落や需要減からガソリン、鋼材など価格が下落している商品もあるが範囲は限定的で、「円相場の推移次第では、倒産の増勢が懸念される」としている。