コンビのファンクショナルフーズ事業部はこのほど、メディアセミナー「『生きた乳酸菌』よりも免疫活性が高い『殺菌した乳酸菌』の最新研究」を開催した。

「乳酸菌関連市場における殺菌乳酸菌市場の割合」

乳酸菌関連の市場規模は、トクホ(特定保健用食品)も含めると約5,000億円とされている。そのうち、殺菌した乳酸菌の市場は10分の1にあたる500億円(推定)であり、主に免疫訴求サプリメントなどの商品を中心に増えてきているという。

同社が開発した「殺菌乳酸菌EC-12(以下EC-12)」は、人の腸管より分離した「エンテロコッカス・フェカリス(乳酸菌)」を独自の培養・処理技術により加熱・殺菌処理し、高密度濃縮した乳酸菌素材とのこと。

これまで「乳酸菌は生きて腸に届く」ことで知られていたが、病原体が生きていない不活化ワクチンでも免疫を獲得できるため、乳酸菌は必ずしも生きている必要はないことがわかったという。

「殺菌処理によるメリット1」

殺菌処理によるメリットは大きく2つあり、1つ目のメリットは免疫活性が上がることだという。EC-12は、エンテロコッカス・フェカリス(乳酸菌)を最適な条件で殺菌処理しているため、同じ菌株の生菌と比較しても高い免疫活性を発揮するとのこと。

「殺菌処理によるメリット2」

2つ目のメリットは、殺菌処理することによって多くの菌数が摂取できることにある。EC-12の20mgには、1,000億個の菌数(カップヨーグルト10個分相当)が含まれるという。

日本獣医生命科学大学名誉教授・寺田厚氏

同セミナーでは、日本獣医生命科学大学名誉教授・寺田厚氏が「殺菌した乳酸菌の摂取による有効性」について研究結果を発表した。

まず、EC-12には腸内環境の改善効果があることを説明。EC-12を1週間被験者に摂取させる臨床実験を行った結果、「短鎖脂肪酸」(腸内細菌が水溶性食物繊維を発酵・分解してつくる代謝物)は増加し、腸内腐敗物は減少したという。

また、善玉菌の代表格であるビフィズス菌は増加し、悪玉菌の一種であるウェルシュ菌は減少したとのこと。同時に便通や便性に関するデータも良好な傾向を示し、明らかな排便促進効果が見られたという。

続いて、EC-12にはウイルス感染の治癒促進効果があることを説明した。臨床実験では、インフルエンザウイルスに感染したマウスに、感染7日前から7日後の合計14日間にわたりEC-12の経口投与を行った。

「各群の体重変化」

実験の結果、EC-12を投与することで、インフルエンザ感染による体重の減少を抑えられることがわかった。

「感染3日後の肺および気道中のウイルス量」

「感染14日後の気道中および血清中の中和抗体価」」

また、感染初期ではウイルス量そのものが減少し、感染後期では中和抗体価(感染体の病原性を中和化する)が上昇した。これらのことは、自然免疫と獲得免疫の両方が活性化し、治癒を促進したことを示しているという。

「EC-12は腸内環境とウイルス感染に対する有効性を示した。これらはプロバイオティクス(生菌)と同様の効果が確認され、サプリメントのみならず、一般食品の分野でも飛躍的に活用されている」と寺田氏。