理系女子のことを“リケジョ”と呼んだり、化学をモチーフにした海外ドラマ「ブレイキング・バッド」が大ヒットしたりと、最近何かと話題になることの多い“理系”なコンテンツ。 その波は漫画も例外ではないようで、さまざまな“理系漫画”が登場し、理系の大学に通う学生の中には漫画がきっかけで理系に興味を持ったという人も少なくないのだとか。

そこで、マイナビ編集部では現役の理系学生に集まってもらい、緊急座談会を開催。自分たちがハマった漫画や、理系としておすすめの漫画を教えてもらった。

数学の仕組みが分かる?『数学ガール』

原作:結城浩 作画:日坂水柯(KADOKAWA メディアファクトリー刊)

まず名前が出てきたのが『数学ガール』。タイトルずばりの“数学”を扱った画期的な漫画で、主人公の“僕”とミルカさん、後輩のテトラちゃんという3人の男女の青春ストーリーを織り交ぜながら、数学の考え方や理論をひも解いていく。

人気小説が原作のこの作品には、「漫画だと絵があって分かりやすかった」との声が多く、「丸暗記していた数式の成り立ちが分かるし、数学は言葉が大事だということも学べる」とのこと。「高校時代に理解できなかった数式が、大学で読み返したら理解できたのがうれしかった」との声もあり、何度でも読めて、知れば知るほど数学が楽しくなるところもおすすめポイントのようだ。


数学書籍として異例の大ヒットを記録した人気小説をコミック化。同じ高校に通う3人の男女が数学を通して交流を深め、次第に恋心も深めていく。各話ごとに「フィボナッチ数列」や「素数」といった数学用語、定義や定理の考え方などの数学理論が語られ、登場人物と共に学べる内容になっている。漫画版では主人公の“僕”に加え、テトラちゃんの心情も描かれ、青春漫画としてのクオリティも高い。

頭の体操にもピッタリ!『9のパズルと魔法使い』

三浦 純(KADOKAWA メディアファクトリー刊)

続いて、『9のパズルと魔法使い』も「理系的要素が多い漫画」とのこと。「ネットのゲームやSNSに意識をダイブさせる設定はいつか実現しそう」と関心が高く、「デジカメに応用されている顔認証の仕組みも勉強になった」という。

作中に登場するパズルについては、「パラドックスのように難解なモノが多いけど、頭を整理するのに最適」といい、「研究の合間に漫画と同じように紙に書き出してチャレンジした」人も少なくないという。ただ、中には「この漫画を知らなかった後輩に、絶対に解けないサム・ロイドのパズルを出題して悩ませた」という悪い先輩もいたようだが……

編集部注 サム・ロイド=本名サミュエル・ロイド(Samuel Loyd)は、アメリカのパズル作家でレクリエーション数学者。1878年に1000ドルの懸賞金をかけたパズルを発表した。このパズルは多くの人を熱狂させたが、このパズルには解法がなく、懸賞金を手に入れた者はいなかった。

ネット上の仮想空間に意識をダイブさせるBCI操作機が普及する近未来を舞台に描くパズル漫画。ある事件で逮捕された主人公・ 夢路活路は、減刑と引き換えにネット上で起こる犯罪を捜査することに。ある日、友人が意識不明の重体に陥り、その原因がネット上のパズルサイトにあることを突き止めた夢路。そこは一旦入ると抜け出せる保障のない謎のサイトだったが、夢路は友人を救うべく自らもアクセスする。

メカ好きは必見!『ガールズ&パンツァー』

原作:ガールズ&パンツァー製作委員会 作画:才谷屋龍一(KADOKAWA メディアファクトリー刊)

また、工学部の学生からは、アニメが話題を呼んだ『ガールズ&パンツァー』を推す声も。漫画版では「戦車一台一台が詳しく描かれていて、それぞれの違いを学べるのはもちろん、素材にも詳しくなる」のだとか。さらにこの作品で興味を持ち、戦車のプラモデルを作った人もいて、「おかげで車や機械の構造にも強くなった」という。機械が好き、メカが好きという人は、一度は読んでおきたい漫画といえるだろう。







“ガルパン”の略称で親しまれ、劇場版の公開も予定されている人気アニメをコミカライズ。舞台は、華道や茶道と並び、戦車を使った武道「戦車道」も大和撫子としてのたしなみとされる世界。県立大洗女子学園に通う秋山優花里は、クラスメイトの西住みほらと第二次世界大戦で活躍したドイツの戦車「IV号戦車」に乗り、実戦練習や親善試合を経て、全国大会に出場する。