世界の国際結婚カップルさんを取材する本企画。今回はカンボジアの首都プノンペンで暮らす日本人妻とカンボジア人夫のレインご夫妻。お互い大学で先生をしながら、4歳と6カ月になるふたりの娘さんを育てています。義理の両親との"スープの冷めない距離"はカンボジアでも大丈夫なのだとか。

妻のレイン幸代さん(40代/某国立大学日本法教育研究センターでコーディネーターと日本語教育に従事)と夫のレインキムホックさん(40代/国立経営大学で法学講師)

■ふたりのなれそめと、結婚して何年目なのか教えてください

青年海外協力隊の日本語教師として私がカンボジアの大学に赴任した際、大学講師として働いていた彼と出会いました。最初の印象は、ちょっと怖そうな人だなぁと。ですが、一緒に働いていく中で彼のいいところをたくさん見つけまして。どんどん印象がよくなっていきました。2003年に結婚しました。つい先日、結婚記念日を迎え、現在、結婚12年目に突入です。

結婚12年目

■日本の結婚と比べ、特別で驚くようなことや、独特な風習はありますか?

結婚式でしょうか。眠たい目をこすりながら、朝の3時から化粧し始め、宴は夜中まで続きました。招待客は何と700人以上。親族始め、当時赴任していた大学の学生も駆けつけてくれました。夜には大音量の音楽に合わせ、皆で踊り狂いましたね。日本人らしく、着物も着ました。やはり着物はかなり珍しかったらしく、多くの参加者から「写真一緒に撮らせて!」とお願いされました。

■世帯年収や夫婦の内訳などさしつかえなければ教えてください

愛娘と

夫: 5割・妻5割といったところでしょうか。実は正確に把握しているわけではありません。食費・ガソリン代・光熱費は夫、外食する際は私、といったように分けています。ただ、基本的に「出せるほうが出す」というスタイルです。

海外旅行は年に2回ほど行きます。主に日本・カンボジア周辺国です。日本は海外旅行というより里帰りですね。夫と子供たちと一緒に実家でゆっくり過ごします。伊豆の温泉に行ったりもしました。夫は日本の温泉が好きですね。また、カンボジア周辺国は夫のビザ取得の関係上、手間がかからないのでよく行きます。欧米などですとビザを取得するのに時間がかかったり、手続きが面倒だったりと大変です。その点、日本人はビザなしで旅行できる国が多いのでラクですね。

■家計はどちらが管理していますか?

どちらか一方が管理、というよりは2人で管理している感じです。やりくりは、特に足りなくなるということも今現在はないので、特別なことは何もしておりません。もしうまくやりくりしていれば、もっとお金が貯まるのかな、なんて思ったりはします。

■どんな家に住んでいますか?

一軒家に親子4人で暮らしていますが、夫の両親がスープの冷めない距離に住んでいます。このスープの冷めない距離というのがカンボジアでも大事です。遠すぎず、近すぎない。夕飯はいつも義母が作ってくれています。夫の両親との関係も良好で、義母は実の娘のように接してくれます。娘が産まれてからは、より一層関係が深くなったような気がします。

■家事はどのように分担していますか?

朝食、朝食の後片付け、洗濯は妻、家の掃除は夫の担当です。広めの一軒家に住んでいるのですが、掃除が大変です。カンボジアの家庭はほうきで掃除をするのが一般的なのですが、最近コードレスの掃除機を購入し、今はそちらで掃除をしています。購入当初、見たこともない機械に娘は驚き泣いていましたが、今はだいぶ慣れたようです。

子育てに関しては、夫の両親が手伝ってくれます。国が違えば子育て方法も大きく異なります。例えば、子供をハンモックに乗せて揺らし、あやすこと。「こんなに揺さぶって大丈夫?」と心配になりましたが、すくすくと元気に成長しています。

■ちなみに、昨日の晩ご飯は?

昨日の晩御飯は、蓮の根と豚肉の炒め物、焼き魚、魚のすり身入り野菜スープ、豚肉のもつです。どれも義母が作ってくれたものです。カンボジア料理はおいしいですね。中でも、ゴーヤの中にお肉を詰めてじっくり煮た「スガオモリヤッ」が好きです。日本人の口にも合う料理だと思います。

食事シーン

■お互いの好きなところは?

妻: おおらかで笑いのツボが同じところですね。

夫: 心ですかね。いい人です。

■逆に嫌いなところは?

妻: 物を捨てないところ。色んな場所で「これ要るの?」というものを持ち帰っては家に置いています。夫が忘れたかな? という頃合いを見計らって処分したりするのですが、そんな時に限って「あれ、どこやった?」と聞かれたりしますね。

夫: 少し怒りっぽいところ。特に疲れている時は怒りっぽいです。

■結婚生活が長続きする三カ条を教えてください。

・不満をため込まない

たまに不満をため込んでいるという人がいるのですが、できるだけこまめに発散するようにしています。ためると、いつか爆発しそうな気がするので。

・国際結婚だと意識し過ぎない

「カンボジア人はこうだ」「日本人はこうだから」などと言わないようにしています。結婚というのは、おそらく同じ国同士であっても大変なものだと思います。国際結婚だから大変だと思ったことは、あまりないですね。

・男性に頼り過ぎない

女性自身が自立していることが大切なのではないかな、と思います。

■将来の家族の夢は?

家族みんなで、ヨーロッパ旅行にでも行きたいです。子供がもう少し大きくなったら行きたいですね。夫のビザ取得が大変そうですが……(笑)