山田洋次監督が『男はつらいよ』以来、約20年ぶりに本格的な喜劇映画『家族はつらいよ』(2016年公開)を製作することが24日、明らかになった。
故・渥美清さんが寅さんを演じた国民的人気シリーズ『男はつらいよ』の終了から20年。『武士の一分』『おとうと』『小さいおうち』など、その時代に生きる"家族"を50年以上にわたって撮り続けてきた山田洋次が、ファン待望の本格喜劇映画に再び挑む。結婚50年を迎えようとする夫婦。夫が妻に誕生日プレゼントで欲しいものを聞くと、妻は「離婚届」と答えた。ごく普通の一家・平田家に突然降りかかる、まさかの"熟年離婚"騒動。さらにそのことをきっかけに、家族全員の不満が噴出する。
平田家の父で頑固親父の周造を橋爪功、積年の不満が爆発した母・富子を吉行和子が演じ、そのほか、長男・幸之助役に西村雅彦、幸之助の妻・史枝役に夏川結衣、長女・成子役に中嶋朋子、成子の夫・泰蔵役に林家正蔵、次男・庄太役に妻夫木聡、庄太の恋人・憲子役に蒼井優が名を連ねる。同監督作『東京家族』で"家族"を演じた8人の俳優が、"笑って泣ける"山田ワールドに再び集結した。
「男であり、女であり、人間であることは、難儀で厄介。でも何とか生きていかないといけない。そういう意味で、1969年から始まった寅さんシリーズに、『男はつらいよ』というタイトルをつけました」と振り返る山田監督。「今回、それと全く同じ意味合いで、この『家族はつらいよ』というタイトルをつけました」と明かし、「家族というのは、厄介で、大変煩わしいもので、無くてもよいと思うこともあるのだけれど、やはり切り捨てられない問題。そのつらさを何とか切り抜けていかねばならない、そのためにドタバタする、そんな滑稽で不完全な人間を、懸命に表現したいと思います。それを見た観客は、"あぁ、ダメなのは自分だけじゃないんだな"と安心して笑ってしまう。映画館で、観客と作り手が、笑いを共有していく――そんな喜劇にしたいと思います」と本作に込めた思いを語った。
映画は9月19日にクランクインし、同年11月下旬のクランクアップを予定している。