今年2月のゴーストライター騒動で話題となった作曲家でピアニストの新垣隆氏が15日、吉本新喜劇座長・小籔千豊が主催する音楽とお笑いのフェス「コヤブソニック2014ファイナル」(インテックス大阪)に出演した。
新垣氏は、楽団を従えた「新垣隆with黒羊管弦楽団」として出演した。まずは1人でステージに現れ、会場の大歓声にやや緊張気味ながらも笑顔で応えると、大阪らしい『六甲おろし』のイントロも登場するピアノソロの即興曲を披露。ロック、ヒッピホップなどのアーティストが多く出演するコヤソニでは異色の現代音楽に観客は息を呑んで聞き入ったが、「ただいまの曲は、『前奏曲 呼び込み』です」と茶目っ気たっぷりのタイトルをアドリブで繰り出す新垣氏に、会場は笑いに包まれた。
続いて新垣氏は、バリトンサックス奏者・吉田隆一氏とのデュオで即興曲を演奏。ラストとなる3曲目では、9名の楽団「黒羊管弦楽団」が加わり、新垣氏がゴーストライター問題を告白した「週刊文春」のテーマという「交響曲HARIKOMI」を披露。アップテンポな楽曲に、関西の懐かしのバラエティー番組「プロポーズ大作戦」「ラブアタック!」などのテーマ曲を盛り込んだノリノリの演奏に、客席から手拍子が起こるなど大いにイベントを盛り上げた。
コヤソニの観客を現代音楽で魅了した新垣氏だが、MCでは、コヤソニ恒例の笑いの洗礼が。「夢の共演?」と吉本新喜劇の今別府直之がステージに呼び込まれたが、その姿はなんと、ロングヘアにサングラス、黒ずくめのスーツと佐村河内守氏にソックリ!そんな“ニセ佐村河内”から「天地神明に誓ってごめんなさい!悪いのは僕です」と佐村河内氏が会見で繰り返していたフレーズで謝罪を受けた新垣氏は、「ありがたいです」と笑顔で握手を交わし、小籔に「そんなええ人やから悪い人に騙されんねん!」と突っ込まれていた。
さらにステージには、“号泣会見”が注目を浴びた元議員・野々村竜太郎氏に扮した千鳥・ノブ小池も“会見つながり”で登場。「あなたにはわからないでしょうね!」と号泣するモノマネを熱演した。ところが、客席の微妙な反応に心が折れたのか、このモノマネをノブに無茶ぶりしたという小籔に「このくだり、絶対いらんやん!」と詰めより、笑いを誘っていた。
出演後の会見では、小籔が「僕は吉本新喜劇を広めたいといろんな活動をしているので、現代音楽を広めたいという新垣さんにはシンパシーを感じる」とコヤソニ出演をオファーした理由を説明。新垣氏は「こんな時期に呼んでいただいて、非常にありがたい気持ちでいっぱい」と小籔への感謝を口にした。また、今別府の“ニセ佐村河内”については「一瞬、ドキッとするぐらい似てました」と感想を。「私も本当なら本人(佐村河内氏)と謝らなければならない立場なので申し訳ない気持ちですが、こうして笑いにしていただいたのはありがたいこと」とコヤソニならではの爆笑演出を楽しんだようだった。