第38回モントリオール世界映画祭のワールドコンペティション部門の授賞式が現地時間の1日、カナダ・モントリオールで行われ、綾野剛が主演を務めた映画『そこのみにて光輝く』が最優秀監督賞を受賞した。
世界四大映画祭の1つのモントリオール世界映画祭は、米・アカデミー賞の前哨戦としても知られる北米最大の映画祭。『そこのみにて光輝く』は、41歳の若さで自ら命を絶った不遇の作家・佐藤泰志が1989年に発表した唯一の長編小説を原作に、『オカンの嫁入り』で新藤兼人賞を受賞した呉美保監督がメガホンをとった作品。主演を綾野剛、ヒロインを池脇千鶴、その弟を菅田将暉が演じている。
受賞を受け、主演の綾野は「風が吹いたなって感じです。佐藤泰志さんに届けられたかなと思います。この監督賞をきかっけに日本でも多くの人に届くことを願っています。国と文化を超えてコミュニケーションをとれた実感があり、映画はあらためて世界共通語だと思いました」、ヒロインの池脇は「がらにもなく興奮してしまいました。監督すごくがんばったと思うのでいいご褒美ですね。私もすごくうれしいです」とそれぞれ喜びのコメント。
一方の呉美保監督は「賞の名前は『監督賞』という名前ですが、ひとりでとれるものではなくて、みんなの力があってこそのものだと思います。みんなでここまで来られたし、本当に良かったなと思います」と関係者とキャスト陣をねぎらい、「この映画の原作を書かれた作家・佐藤泰志さんは芥川賞候補に何度もノミネートしながらも賞に恵まれず、不遇の死をとげました。この賞を獲得し佐藤さんが報われたかなと感じています。佐藤泰志さんにおめでとうございます!」と原作者に向けてメッセージを送った。
(C)2014佐藤泰志/「そこのみにて光輝く」製作委員会