乳幼児に発症例が多い手足口病

8月は夏風邪が流行しやすい季節。その中の一つに「手足口病」というものがあるが、その症状とはどのようなものだろうか。予防策なども含め、ライオンのヘルスケアマイスター・山岸理恵子さんに話をうかがってきた。

手足口病ってどんな病気?

手足口病はエンテロウイルス、コクサッキーウイルスを原因とする病気。「『エンテロ』とは腸を意味し、腸で増殖をするのがエンテロウイルスです。エンテロウイルスにはいろんな型があり、コクサッキーウイルスもエンテロウイルスの一種です」と山岸さんは話す。

手や足、口内などを中心に水疱(すいほう)を伴った発疹が出ることが特徴で、口内にのみ発疹が見られる夏風邪の一つ「ヘルパンギーナ」とは区別される。37~38度の発熱、喉の痛み、食欲の低下などの症状が出る。乳幼児に発症例が多く、潜伏期間は3~6日間、症状は2~4日間ほど続くという。

初夏~初秋と比較的流行期が長いが、今年の報告は今のところやや少なめ。近年では2011年と2013年に大きく流行した。

手足口病を予防するには

手足口病はくしゃみなどの飛沫(ひまつ)感染、タオルや食器の共有による接触感染、おむつなどの交換で起こる糞口(ふんこう)感染によって感染する。

予防接種のような対策は無く、「基本的には手洗い、うがいをしっかりすることが大切です」とのこと。夏バテなどで体力や免疫力が落ちると感染しやすくなるため、しっかりと栄養をとり、規則正しい生活をおくることも重要だ。

手足口病にかかったら

便や水疱(すいほう)にウイルスが含まれるため、まずは手洗いやうがいを徹底することが大切。食器やタオルの共用を避けるようにすることで、家庭内における子どもからの二次感染を防ぐことができる。

「ふだんからあまり神経質になりすぎなくても大丈夫ですが、お子さんの学校など身近に感染者が出た場合には、タオルを使い分けるなどの対策をした方が良いですね」。

のどが痛む場合は、マスクが有効。「のどが乾燥すると、ウイルスへの感染を防ぐためのシステム『線毛運動』が低下してウイルスが増殖しやすくなるので、マスクで乾燥を防ぐのは効果的と言えます」。

だが、連日にわたり同じマスクを使い続けるのはNG。手足口病に限らず、夏風邪のウイルスは特に高温多湿で不潔な環境を好むので、マスクは常に清潔なものを使うようにするのがよい。

症状が治まってからも1カ月ほどウイルスを排出し続けるので、当人や家族などが「治った」と思ってからも感染拡大を防ぐように心がけよう。

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取材協力: ライオン ヘルスケアマイスター: 山岸理恵子さん

ボディーソープほか、スキンケア商品の開発に長年携わった後、現在のヘルスケアマイスターとなる。商品開発の経験を生かし、主にライオン快適生活研究所にて健康で快適な暮らしのための情報発信に尽力している。