――そうして臨んだ特撮の撮影現場ですが、やはり通常のドラマや映画とは違う、独特の雰囲気があったかと思います。

独特でしたね。やはり爆発が一番びっくりします。工場の中での撮影だったので、とにかく反響が凄まじい。爆発のタイミングは把握できないし、だいたいが自分の後方で爆発しますから(笑)。台詞を発して、立ち回りもこなして……そこで突然ドカーン! ときて、思わず目を閉じてしまったんです。金田監督は「はいオッケー、次いこうー!」って言うもんだから、「いやいやいや、監督! 今の絶対ダメでしょ! 目つぶりましたよ」とあわてて伝えました。金田監督がもう一度確認したら「んーダメだな、もう一回!」って(笑)。

――(笑)。金田監督との2ショットがブログに掲載されていましたよね。

金田監督とのやりとりはとにかく楽しい。もうやりとりにならないみたいな(笑)。「バーッ、ビュン、ビューンとやっちゃって!」みたいに、ジェスチャーや擬音がやたら多いんです。

――それでわかるものですか?(笑)

それがわかるんですよ(笑)。先ほどの爆発のお話もそうで、ざっくりした部分はありますが、そこが金田監督の魅力なんです。僕との相性はすごくいい。感覚的でわかりやすい。感覚的だからこそ、特撮のような良い画、生きた画、躍動感のある画が撮れるんだと思います。勢いと迫力が抜群。個人的な感覚だとわかりにくくなりますが、金田監督は、感覚的なことを皆に伝えることができる。これって実はすごいことですよね。

――ライダーチームは若い役者さんが多い現場でしたが、愛之助さんの目にはどう映りましたか? 合わせて、スーツアクターさんとのエピソードもあればぜひお聞きしたいです。

やはり勢いがある現場でしたね。スタッフさんも若い方が多い。現場全体が撮影を楽しめている印象で、タフでパワフル。金田監督の檄は飛びますが、すごくボジティブです。みんなで作品を創っている感じが伝わってきます。

スーツアクターについては、もう僕が入りたかったくらいで(笑)。ただ、マルスのスーツアクターを担当していた今井さんは、体がすごい。昔は鍛えていたというお話をされていて、あれだけ重いスーツを着てキレのある動きができるわけですから、軽はずみにやりたいなんておこがましいです。特に、殴られる、切られる側の受け身に注目して見ていましたが、映像よりも現場の方がよりリアル。学べる部分は多かったです。スーツアクターの方は、半端ないですね(笑)。昭和ライダーも夢中になって見てきましたから。

――仮面ライダーをはじめ、小さい頃から東映特撮をご覧になっていたんですよね。キカイダーもお好きだと聞いて驚きました。

僕は、仮面ライダー派でした。1号、2号、V3、X、アマゾンと見ていましたし、小さい頃は自分の日常と地続きに思えていて、リアリティがあった。本当に夢中になって見ていました。好きだったのはアマゾンかな。やはり記憶を辿るなら、あの「アーマーゾーン!」は鮮烈(笑)。後は、最近REBOOTも公開されましたが、キカイダーやハカイダーも大好きでしたね。むしろライダーよりものめり込んでいたかもしれない。

――最近の平成ライダーについてはどうでしょう?

学園ものの……『フォーゼ』ですね。"宇宙キター!"ってやつ(笑)。昭和ライダーを見ていた者からすると何から何までぶっ飛んでいますが、ついにライダーもここまできたかと。学園もので、宇宙を目指してライダーをやるっていうチャレンジングな部分もいいですよね。とても新鮮に見ることができて、時代時代に合わせたコンテンツの変化の仕方が、懐の深さがライダーにはあるようで、とても面白かった。日曜の朝にやっていることも大きくて、僕にとってはタイミングがいいんです。あまりテレビを見る時間がないのですが、ライダーは別なのかな。テレビをつけて放送されていると、そのままつい引き込まれてしまう。若い役者もかっこいいですし。これはお母さんたちにも好かれるだろうな(笑)。

――ライダーの映画は、色々なゲストさんが出演されますが、必ずそのゲストがライダーに変身できるわけでもないんですよね。決定した時、歌舞伎俳優のお仲間はどんな反応でしたか?

まさかライダーを! っていう(笑)。もともと僕らの仕事の範疇にライダーは入っていないんですよ。まさかオファーがくるとも思っていないし。かといってやりたいといってできるものでもないじゃないですか。そりゃあ驚かれました(笑)。ただ、僕が今回のお話を受けるにあたり、歌舞伎と繋がる部分が確かにあったんです。