発明協会が18日に発表した、「戦後日本のイノベーション100選」のトップ10を見ると、おもしろいことに気づく。発明年代の古い順に並べると、(1)内視鏡(1950年)、(2)インスタントラーメン(1958年)、(3)マンガ・アニメ(1963年)、(4)新幹線(1964年)、(5)トヨタ生産方式(1970年)、(6)ウォークマン(1979年)、(7)ウォシュレット(1980年)、(8)家庭用ゲーム機・ゲームソフト(1983年)、(9)発光ダイオード(1993年)、(10)ハイブリッド車(1997年)である。
何十年も前の発明でありながら、今でも形をかえながら日本および世界を革新し続けているものばかりで驚く。1950年に発明された内視鏡では、今でも日本が世界トップの技術を持つ。内視鏡を使うことで、メスを入れない手術が増え、今でも医療を革新し続けている。マンガ・アニメ、新幹線、ウォッシュレット、ハイブリッド車など、日本の輸出品として一段と飛躍が期待されるものも多い。
ソニーの「ウォークマン」は、携帯音楽プレーヤー・スマートフォンなどに形を変えて発展しているが、残念ながら、米アップル・韓国サムソン電子などに主要プレーヤーの座を奪われている。
大成功して歴史に名を残したものがある一方、期待されながら、鳴かず飛ばずに終わった製品群もたくさんある。私が、独断でその「残念な製品・サービス」5選を挙げてみた。
シャープの液晶:シャープのおかげで世界の液晶は革新的な進歩を遂げた。しかし、重要な技術はつぎつぎとアジア企業に流出し、シャープ自体は、利益をあげることができなくなってしまった。
NTTドコモの「iモード」:ケータイ電話に情報提供機能を付加する画期的な試みで、日本で大成功を収めた。海外への輸出を目指したが、海外でまったく受け入れられず、逆にスマートフォンの普及によってiモードの存在意義は、薄れてきている。
カーナビゲーション:スマートフォンのナビゲーション機能が充実してきたために、カーナビの需要は減少している。
プラズマパネルTV:かつて大画面テレビは画像がきれいなプラズマTVが主流になると期待されていた時があった。しかし、液晶が大画面できれいな画像を出せるようになってしまったために、存在意義がなくなった。
半導体DRAM:日本が主導して世界の半導体メモリーの世代交代がどんどん進んだ。エレクトロニクス産業の進歩に大いに貢献したが、それでも今、DRAM生産で生き残っている日本企業はない。
それでは、今後10年の「日本発イノベーション製品」にどういうものが入るか? これも私の独断で「今後活躍する5選」を挙げた。
次世代ロボット(サービスロボット)
燃料電池車(および水素社会実現のためのインフラ整備)
超電導応用製品(リニアモーターカーや超電導ケーブル)
地熱発電(主要ベース電源に発展)
公害防止技術(大気汚染・水質汚濁 の防止技術)
執筆者プロフィール : 窪田 真之
楽天証券経済研究所 チーフ・ストラテジスト。日本証券アナリスト協会検定会員。米国CFA協会認定アナリスト。著書『超入門! 株式投資力トレーニング』(日本経済新聞出版社)など。1984年、慶應義塾大学経済学部卒業。日本株ファンドマネージャー歴25年。運用するファンドは、ベンチマークである東証株価指数を大幅に上回る運用実績を残し、敏腕ファンドマネージャーとして多くのメディア出演をこなしてきた。2014年2月から現職。長年のファンドマネージャーとしての実績を活かした企業分析やマーケット動向について、「3分でわかる! 今日の投資戦略」を毎営業日配信中。