何の魅力もない『凡人学生』が内定をとるためには、「インターンは内定のために参加するものと考える」、これ鉄則です。

この考えからぶれていくと話は個人の趣味趣向や精神論に向かっていき、誰が否定できるわけでもないので、最終的には「行きたきゃ行けば?」という結論になります。まるで女性のいる飲み会に参加することを彼女に伝えたときの彼女の反応のようです(ガタガタ)

しかも資格や実績といった不変の強さを有する「有能学生」であれば内定には影響ないでしょうが、凡人学生が妄想夢想にも等しい行為にふければただの痛い若者です。

そもそもインターンに参加していない人も立派に社会人をやっている

はっきり言いますが、そもそもインターンに参加せずに内定をとる就活生は五万といますし、社会の社の字も知らないまま就職しても立派に社会人をやっている人も大勢います。 つまりインターンの参加は必須ではないと考えてよいですし、漠然とした「何かしなきゃ」という焦燥感に突き動かされた結果のインターンなんか無駄でしかありません。親の肩でも揉んでお小遣いをせびるほうがよっぽどメリットがあるでしょう。

明確な目的「内定をとるために」を念頭に、参加することが、まずは大切です。

社会人もどきなんか求められていない

先に「無意味なインターンの参加の仕方」を整理しておきましょう。

(1) ビジネス的なものに触れたことに優越感を覚えて満足する
(2) 自分の実績になると思い込む

特別な内容でなければインターンへの参加自体では有利にならないのなら、内定を左右するのは「就活生が就活時点で持つ社会人性や社会人的スキルではない」と考えられます。 新卒一括採用は『ポテンシャル採用』であり、その就活生の持つ『裾野の広さ』が重視されます。経営的に不安定でじっくりと教育ができない企業でもない限り重視はされないと思って構わないでしょう(『即戦力』だなんだの騒ぐのはこういった企業で、「即戦力がほしいくせに新卒を雇おうとしてんじゃねーよ」と突っ込みを待っています)。

社会人ごっこに勤しんで、いかに社会人風な振る舞いや発言をするかに腐心する就活生がいますが、「社会人もどきを求めている企業は少数派」だと心に刻んでください。

どうせ社会人になったら休日を除いて毎日8時間以上は嫌でも社会人として振る舞わなければなりません。はっきり言いますが、勝手に身に付きます。それはもう、どんなに拒絶しても。

考えるべきは『人物像の見せ方』

では、インターンはどう役立てられるのでしょうか。

新卒を採用するのは給与が安くて済むことか、何色にも染まっていない学生を一から育てたいからです。給料が安いという理由以外で新卒を採用する企業は上記したように『裾野の広さ』で内定を決めます。

この裾野の広さは言い換えれば『思考の幅や深み』だと捉えてください。大学生、これから社会に出ようとする若者として、自分自身の強みや弱みを理解し、企業のなかで自分が活躍していくための『覚悟』を持っているかということです。

要は人事や面接官に対する『人物像の見せ方』が内定を左右します。

活躍できるかどうかなんて、働いていないのですから、誰にもわかるわけがありません。しかし、そう見えるように伝えるのが就活生の役目です。今更どうこうして作り上げていくものではなく、いま持っている『人間性』という武器をいかに活用するか、です。

その意味でいうと、インターンの参加経験は本人の素質や素養を高く見せるものではなく、人間性が人事や面接官に高く評価された『欲しい人材』の前には霞みます。

インターンの効果は『経験値の蓄積』

インターンに参加する明確なメリットは『経験値の蓄積』です。

なぜなら就活は取り組める時期があらかじめ決められており、ほとんどの就活生が同じタイミングでスタートを切ります。つまり就活がうまくなる速度もほぼ横並びであり、テクニックではあまり差が付きません。

しかしインターンで社会人と接し、社会人が好むことや嫌うことを察知し、読み取り、そして周りの就活生を観察して研究すれば、上記した『人間性を利用して裾野をいかに広く見せるか』に必ず役立ちます。社会経験の乏しい大学生では『想像』に限度があり、そこをインターンで補てんすることが可能です。

資格や実績は覆せませんが、テクニックで勝っていくことができます。

たとえば、有名企業や中長期インターンになると選考があります。それに参加していること自体はよほどネームバリューのある企業か、よほど濃密な内容でなければ、別の企業では役立ちません。インターンは所詮、就業体験に過ぎず、企業が用意した器に就活生が多少の「ふるい」を経て収まっただけだからです。

しかし、視点を変えて『経験の蓄積』で考えれば、この「ふるい」は貴重です。

大多数の就活生が本番の就活ではふるいにかけられまくり、不採用を繰り返します。それを事前に体験できるのは心積もりを固める意味でも、そして「選考を体験し、精度を高められる」という意味でも有益です。

選考が設けられているインターンでは比較的優秀な就活生が集まるため、凡人学生は高確率で落選するでしょうが、それこそ参加すること自体に価値があるのです(もちろん事前研究と反省はするにして)。

過去、凡人学生ではありませんが、かなりの高学歴にも関わらずインターンの選考に落ち続けた人に会ったことがあります。その人はダークチョコチップモカフラペチーノ(うろ覚え)を飲みながら「学歴があればどうとでもなると思っていたが、自分の中身のなさに気付いた」と話していました。これもインターンの選考自体に価値があったといえます。

インターンにも複数種あり様々なので一概に言い切れることばかりではありませんが、どのようなものに参加するとしても『経験の蓄積』のために何ができるかを考えてください。本番の選考ではないのですからユニークな方法を試してもいいでしょうし、どんな自己PRの反応が良いかも検証できるでしょう。

試して、経験を生み出し、蓄積する。

必ず本番で生きます。

※画像は本文とは関係ありません


武野光
平成2年生まれ。「TOEIC未受験」「サークル未所属」「友達の数が片手未満」といった状況から就職活動に挑み、その体験から得た教訓をつづったブログ『無能の就活。』が大きな反響に。現在はサラリーマンと兼業で作家活動を行う。著書に『凡人内定戦略』『凡人面接戦略』(中経出版)、『就活あるある ~内定する人しない人~』(主婦と生活社)など。マイナビ2016でも、マンガ『キミ! さいよー』(石原まこちん/小学館)内で、一言コラム平成ベビーの就活用語辞典掲載