日本を愛し、日本人女性と結婚し、日本に帰化したギリシャ生まれの作家、ラフカディオ・ハーン(後の小泉八雲)とその妻セツの物語を描いた山田太一脚本『日本の面影』が、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の没後110年にあたる今年、女優の紺野美沙子主宰の「朗読座」により再演される。
1984年にテレビドラマ化、1993年に舞台化され、2012年に「朗読座」で上演された『日本の面影』。今回は、5月28日の東京公演を皮切りに、全国11カ所で行われる。初日を前に、「朗読座」主宰で妻セツを演じる紺野美沙子に、作品の魅力や舞台にかける思いを聞いた。
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紺野美沙子 |
――2012年に初めて「朗読座」で『日本の面影』を上演しようと決めた時の気持ちを教えてください。
『日本の面影』は1984年にNHKのドラマで放送され、1993年には舞台化もされ、何度も上演されている作品ですが、5年前に戯曲を読んで「しみじみいい作品だな」と感じたんです。こういった素晴らしい日本の作品を伝えたいと思い、上演することに決めました。
――作品のどういうところに感動しましたか?
明治の半ばに日本にやってきたラフカディオ・ハーンが、私たち日本人のいいところをたくさん見つけてくれていて、ハーンの言葉一つ一つに「あぁ日本ってこんなにいいところたくさんあったじゃないの」って自信を持てるようなところがあるんです。東日本大震災以降、だれもが生き方・暮らし方を見直すようになったと思うんですが、自分にとって幸せとは、豊かさとは何かということを、押し付けがましくなく、じんわり感じさせてくれるようなお芝居なんです。
――「朗読座」ならではの『日本の面影』の魅力とは?
草刈正雄さんのラフカディオ・ハーンが本当に素敵です。私は最初から草刈さんが絶対にいいと思っていたんですが、演じているのが草刈さんなのか本物の八雲なのかわからないくらい役になりきってらっしゃるんです。草刈さん自身も「この役との出会いは運命だ。僕のライフワークにしたい」とまでおっしゃってくださっていて。上の年齢の方にとっては永遠の二枚目で、若い世代にはおちゃめなオジサマの感じがあると思いますが、『日本の面影』の草刈さんを見たら、みなさん驚かれると思います。
――紺野さん演じる妻セツもとても重要な役どころですが、セツの存在をどのように捉えていますか?
ラフカディオ・ハーン、小泉八雲は、4歳で両親と離れておばさんに育てられてるんですが、ずっと孤独だった方だったんです。それが日本に来て初めて家族を得て、子供を得て、セツは奥さんだけれども、ハーンにとっては母のような存在だったと思っています。慣れない異国での生活をすべてセツが支えたわけですし、ハーンの求める日本の昔話とか習慣とかも教えてたのもセツさんですので、母のふところの深さみたいなものが表現できればいいなと思っています。
――今年、再演するのには何か理由があるのでしょうか?
ハーンは、日本に来て一番最初に島根県の松江に赴任しているんです。ハーンは"ヘルンさん"という愛称で呼ばれていたんですが、今でも松江に行くと、ヘルンさん通りとかヘルンさんのおみやげとか、ヘルンさんであふれているんです。その松江が今年、没後110年でいろんな催しを行うということで、その一環でぜひ『日本の面影』を上演していただけないかとお話をいただき、それでしたら松江だけでなくいろいろ伺えたらいいなと思い、再演を決めました。
――前回公演と変えていることはありますか?
前回の地方公演は石川県の金沢しかいけなかったんですが、今回は東京公演のほか11カ所巡ります。島根県の隠岐の島も行くことになり、島の中学生が大勢見てくださるというので、どういうふうになるのか楽しみです。そして、お芝居というのは、回数を重ねるごとにより息があってくるので、初演に比べると全体的によりパワーアップしていると思います。
――再演にあたり、草刈さんとどのように話をされていますか?
役については特に細かい話はしていないです。草刈さんとは20代のはじめに、共に初舞台を踏んだんです。初めて舞台に一緒にチャレンジした間柄ですし、草刈さんの人柄もわかってます。ちなみに、ネットの愛称占いをみると、私と草刈さんすごくいいんです。旦那よりも。"結婚すればいい""最高です"っていうくらい点数がよくて、もう運命かなって勝手に感じています(笑)。ですので、息もばっちりだと思います!
――ファンにメッセージをお願いします。
今回、演劇界の重鎮、芸達者な方ばかりスタッフ・キャストともに集まってくださっています。みなさんの芝居はもちろん声もすてきで、映画やテレビとは違う、生の役者さんたちの魅力をぜひ、ご覧いただけたらと思います。小学生からご年配の方まで楽しめ、舞台初めての方も目の肥えた方も楽しめる、そんな舞台ですので、ぜひ皆さん劇場に足を運んでいただけたらと思います。
朗読座・地人会新社 公演『日本の面影』スケジュール
【5月28日~6月2日】東京(港区)/俳優座劇場
【6月11日】岐阜(大垣市)/大垣市スイトピアセンター
【6月13日~15日】石川(七尾市)/能登演劇堂
【6月17日】富山(朝日町)/朝日町文化体育センター
【6月18日】富山(南砺市)/井波総合文化センター
【6月20日・21日】兵庫(西宮市)/兵庫県立芸術文化センター
【6月22日】兵庫(加東市)/東条文化会館
【6月24日・25日】島根(隠岐の島町)/隠岐の島町総合体育会館
【6月27日・28日】島根(松江市)/島根県民会館
【6月30日】神奈川(相模原市)/相模女子大学グリーンホール[相模原演劇鑑賞会 会員限定]
【7月2日~5日】神奈川(横浜市)/神奈川県立青少年センター[横浜演劇鑑賞協会 会員限定]
※6月6日に神奈川(横浜市)の鵜川メモリアルホールにて、桐蔭学園の学内関係者限定の公演も実施