時間はちょうど昼過ぎ。腹はペコペコ。しかし。そう、しかしなのだ。現在地は銀座のド真ん中。コレはいかん。銀座でたらふく食おうものならば、諭吉先生まではいかなくても、ランチでも樋口一葉が飛び出して行っちゃうんじゃないですか。銀座、超怖い。

だが彷徨しているうちに、銀座一丁目の交差点の程近くにサラリーマンたちが吸い込まれていく中華料理屋を発見。近隣のワーカーたちがこぞって入っていくってことは、リーズナブルでボリュームもある定食が堪能できるに違いない。そう思い店先まで歩み寄ると、店の外にドカンとディスプレイされていたのがコレ……巨大餃子!!

いかにも近所にありそうな中華料理屋の雰囲気。地下鉄銀座一丁目駅6番出口から徒歩1分の場所にある。そして店頭には餃子オブジェ。何……だと……!? 1個1個がバナナぐらいの大きさですが

名物「ギョーザライス」、1,120円でも圧倒的に安い!

迷わず飛び込んだその店は「銀座 天龍」。店外に飾られた餃子のオブジェからわかる通り、餃子が名物のようだ。早速席に着いて餃子にご飯と高菜の漬物がついたセット、その名も「ギョーザライス」(1,120円)を注文。同店の「焼ギョーザ」は1,020円だから、100円でライスと高菜がつく計算である。

そして「ギョーザライス」ご登場。……とってもデカイです。皿からはみ出さんとする、自己の存在を強烈にアピールしてくる8個のギョーザたち。本物もやっぱりバナナ級のサイズだ!!

ジャンボギョーザ、キタコレ!! バナナ一房まるまる食べちゃうようなボリューム!!

ライスが100円で追加されるところも、銀座のど真ん中にも関わらず近所の中華料理屋的でありがたすぎる!!

手元にあったボールペンと比較してみたのだがこの通り

食べ始めようとした瞬間、ふと卓上を見ると中華料理屋の定番セットが。醤油、酢、ラー油、カラシ。……カラシ!? 店長の小林さん、このカラシは何に使うの!? 「そのカラシは、酢醤油とあわせて餃子につけていただくのが天龍のオススメ。僕も初めはどうかと思ったんですが(笑)、意外とイケるんですよ。ちなみにこのカラシはウチのオリジナル。作る際に酢を混ぜているんで、マイルドな味わいなんです」。

カラシと酢醤油で準備万端! ちょっといつもと違う味で餃子が味わえるのだ

ニラ・ニンニク不使用の"やさしい味"

できたての餃子にまずは何もつけずにかぶりついてみると、皮のモチモチ具合にビックリ。ドデカい餃子を自立させるためにもやや厚めの皮なのだが、適度な弾力でちょうどいい。そして餃子の餡にも仰天。なんとニンニクやニラなどの香味野菜は一切含まれていないのだ。そこにあるのは豚肉と白菜と長ネギのパラダイス! そして、豚肉のジューシーな肉汁によって唇はグロスを塗ったかのようにテッカテカ。いや、けなしているんじゃなくて、げ・き・う・ま(ハートマーク)。

「ウチの餃子はニンニクを使っていないので、午後に商談があっても大丈夫。近くの会社で働いているOLさんたちにも喜んでいただいていますし、お子様も食べやすいみたいです。また銀座という土地柄、高級クラブのホステスさんたちも仕事前に食べにきたり、お持ち帰りしてクラブのみんなで食べるなんてこともしていただいてますね」。

なるほどっ。刺激の強い素材を使っていないからか、あんなにデカい餃子もスルスルッと胃袋におさまっていく。

「当店の先代社長が山東省の出身なんですが、元々の中国の餃子ってニンニクなどは入っていないそうなんですよ。3年ほど前に『笑っていいとも! 』でタモリさんに食べてもらったことがあるんですが、その時も『これは本場の餃子だ』とおっしゃっていただきました」。なんと、食通としても知られるタモさんお墨付きとは。

サイズはデカいが、味わいはむちゃくちゃやさしい。癖がないから癖になる

お次にオススメの食べ方、カラシ酢醤油にトライ。よくかき混ぜたタレに餃子を思う存分にくぐらせてから食べると、コッテリとした豚の味わいがカラシと酢によって中和され、これまたスルスルと食べられちゃう。考えてみたら肉まんにカラシをつける人がいるのだから、ほぼ同じ材料で作られた餃子にカラシが合わないワケがないのだ。餃子にかけるのはラー油とは限らないのだな。

しかし、なぜまたこんなにデカいサイズの餃子を作ろうと思ったのだろうか。「実は店名の由来に関係しているんですが、1949年の開店当初は『天龍関』という力士と共同経営だったんです。それで相撲取りの方がたくさんいらっしゃるようになったんですが、餃子の小ささに不満を覚える方が多かったらしく、特大のものをお出ししていたところ定着したそうです」。

力士たちが食べるサイズならば、この大きさも納得。気がつけば餃子とカラシ酢醤油の相乗効果でペロリと完食。正直、「ギョーザライス」で1,120円はちょっと高いんじゃないかと思っていたが、食後の満足感はそれを補って余りあるものだった。

「もし食べ切れなかったとしても、パックに詰めてお持ち帰りいただいてもOKですので。女性のお客様はそうしてらっしゃる方も多いですね」。

何から何までやさしすぎる……。まさか東京・銀座のド真ん中で、ここまでのやさしさに触れられるとは。めちゃウマなデカ餃子を大量に食べたい方は、「銀座 天龍」に足を運んでみてはいかがだろうか。

(文・A4studio牛嶋 健)