山田洋次監督最新作『小さいおうち』の初日舞台あいさつが25日、東京・丸の内ピカデリー1で開催され、松たか子、黒木華、片岡孝太郎、吉岡秀隆、妻夫木聡、倍賞千恵子、山田洋次監督の7人が登壇した。

左から、妻夫木聡、黒木華、倍賞千恵子、山田洋次監督、松たか子、片岡孝太郎、吉岡秀隆

『小さいおうち』は第143回直木賞を受賞した中島京子のベストセラー小説の映画化作品。東京郊外の"小さいおうち"で暮らす奥様・時子(松たか子)の秘められた恋が、女中タキ(黒木華)の目線で展開され、封印された"秘密"が、戦前の昭和と、平成の2つの時代を通して描かれる。

山田監督は「この映画は、ちょうど去年の今頃、吹雪の中の撮影から始まりましたが、1年後の今日、こうして、公開初日を無事に迎えることができて嬉しく思っています」とあいさつ。主演の松は、「時子という役が皆さんの共感を呼ぶ役になっているか気になっています。山田監督とのお仕事は本当に楽しかったです」と充実感溢れる表情で語った。

倍賞は「山田監督と久しぶりにご一緒させていただいて、撮影初日は大変緊張して、お茶を入れるシーンでは手が震えてしまいました。妻夫木君と一緒のシーンが多かったので、妻夫木君が彼女(木村文乃)を連れてくるシーンでは本当に嫉妬しました」とおちゃめにコメント。妻夫木も「倍賞さんが素晴らしい方で。実際のおばあちゃんだったらうれしいなと思いました」と笑顔で言うと、倍賞も「実際のおばあちゃんになってもいいよ」と即座に答え、会場の笑いを誘った。

『小さいおうち』は、2月6日から開催される第64回ベルリン国際映画祭コンペティション部門に出品される。同部門には『母べえ』(2008年)以来6年ぶり、5作目の出品となった。ベルリンでの上映会へは、山田監督と黒木華が参加する。山田監督は「光栄だけど、賞が獲れるどうかでドキドキしなきゃいけないので、ちょっと気が重い(苦笑)。でも、外国の人たちに見てもらえれば、どこか同じ思いを抱いていただけるはずだなと」と、今の気持ちを明かした。初めて海外の映画祭に参加する黒木は「今からすごく不安」と漏らしながらも、「タキちゃんのように今度は山田監督をそばで見守っていようかな」と、健気な発言をした。松も「楽しんできてください!」とエールを贈った。その後、全員で鏡開きをして、舞台挨拶を締めくくった。