女優の松たか子、俳優の妻夫木聡、山田洋次監督らが28日、都内にて行われた映画『小さいおうち』(2014年1月25日公開)の完成披露試写会に出席し、舞台あいさつをおこなった。

映画『小さいおうち』の完成披露試写会に出席した松たか子

原作は、第143回直木賞を受賞した作家・中島京子の同名小説。昭和初期、赤い屋根の"小さいおうち"に女中として奉公していた布宮タキ(黒木華)は、その家の妻・時子(松たか子)と夫の部下・板倉正治(吉岡秀隆)との恋仲を知ることになる。60年の時を経て、大学生の荒井健史(妻夫木聡)は、大伯母・タキ(倍賞千恵子)が遺した"自叙伝"と一通の宛名のない手紙を手に取り、タキが"小さいおうち"に封印した秘密をひもといていく。

主演を務めた時子役の松は、「ご覧になる方を前に非常にドキドキして。昨日はあまり眠れなくて、今日は二度寝してしまってぎりぎりで出掛けてしまい」と照れ笑い。『隠し剣 鬼の爪』(2004年)以来、9年ぶりの山田組を「おもしろいことがいっぱいあって」と振り返ると、「斜め後ろの監督の方向からドンドンドンと音が聞こえて、地団駄を踏む音でした」と再び笑顔を見せた。「自分に対する歯がゆさですから、監督がそういう熱さを持って現場にいらっしゃたということで」と語り、「これからもどの現場に行っても、監督の足の音が消えないように耳の奥に埋め込んでおこうと思います」と貴重な体験だったことを明かした。

一方、登壇した山田監督は、「昨日からとっても不安で、いい年して心配で夜眠れなかったりしています」と告白。「試写会に臨む時は、判決を聞く被告みたいな気持ちでありましてね」と心境を伝え、「ここにいらっしゃる俳優さんをはじめ、大勢のスタッフが一生懸命心を込めて作ったことだけは間違いないと思う」とたたえた。また、初めて山田組に参加した『東京家族』(2013年)の現場で本作の出演オファーを受けたという妻夫木は、「うれしくて、親に電話しましたからね」と喜びを伝え、「この作品を初めて見た時に、『監督! これはすばらしいですよ!』ってあたかも自分が出てないように延々と語りかけてしまいました」とうれしそうに話していた。

この日は、松、妻夫木、山田監督のほか、黒木華、吉岡秀隆、倍賞千恵子、木村文乃といった共演陣も出席した。