未熟な主人公の挫折を描くドラマ性

ウルトラマンレオ (C)円谷プロ

第1期の最後の作品「ウルトラセブン」(1967~1968)以降、下火になっていた怪獣ブームのなかで、続編が作りにくくなっていた状況でテレビ局側のプロデューサーが提案したのが「人間ドラマの重視」だった。それを受けて円谷側が打ち出したのが「主人公が人間として命がけの努力をして、その結果ウルトラマンへと変身し、事件を解決する」というストーリー展開を取り入れることだった。

第2期がスタートした70年代前半は、『柔道一直線』や『アタックNo.1』などいわゆるスポ根ドラマが人気だった。その影響もあってか、努力や根性で新たな技を身につけて敵を倒していくといった要素も取り入れられている。

登場する主人公は、いわゆる聖人君子のような絶対的な正義の味方ではなく、戦いの中で失敗し、苦悩する。主人公自身が正義を説くようなストーリー展開でなく、主人公の未熟な部分を隊長など周囲の人物が鍛えて、成長させていく過程を見せることでメッセージを伝えていくという手法は、ヒーロー特撮作品では珍しい。

意外と知られていない!? ウルトラ兄弟の関係

ウルトラマンタロウ (C)円谷プロ

ウルトラマンと言えば、ウルトラの父、母を筆頭とする「大家族」的なヒーローというイメージがユニークだが、その「ウルトラファミリー」の方向性が明確化したのは、第2期のウルトラマンシリーズから。

第2期シリーズ1作品目の「帰ってきたウルトラマン」放映中、小学館の学年誌にそれまで登場していた4人のウルトラマン(ゾフィー、ウルトラマン、ウルトラセブン、ウルトラマンジャック)がウルトラマンの兄弟であると書かれたのが始まりと言われている。その後、「ウルトラ兄弟」として設定が公式化されていき、「ウルトラ兄弟とは、光の国の宇宙警備隊員の中でも、地球の防衛のような、宇宙の平和維持への貢献や、それに準じる働きをしたエリート戦士に対して与えられる称号とでも言うべきもの」という形に定まっていった。

つまり、ウルトラ兄弟とは血縁関係のある兄弟ではない、いわば義兄弟のような関係。唯一「ウルトラマンタロウ」だけは、ウルトラの父・母から生まれた実子なのだ。

第2期ウルトラマンシリーズでは、ピンチになった時などに旧作のウルトラ兄弟や父や母が助けにやってくる。「ウルトラマンA」第5話「大蟻超獣対ウルトラ兄弟」では、絶体絶命の場面で長男格のゾフィーが現れ、当時、末弟だったウルトラマンAを助け出すという兄弟の絆を感じさせる感動の回もある。

大人のためのウルトラマンシリーズ

深いテーマを持ったドラマ性とウルトラマンのかっこ良さを楽しめるのが、第2期ウルトラマンシリーズだ。WOWOWプライムでは、円谷プロ×WOWOWプロジェクト第2弾「ウルトラマンシリーズ4作品ハイビジョン大作戦!」として、12月29日から「帰ってきたウルトラマン」を皮切りに、「ウルトラマンA」、「ウルトラマンタロウ」、「ウルトラマンレオ」といった第2期ウルトラマンンシリーズ作品のハイビジョンリマスター版を続々放映予定。

子どもの頃に夢中になった人はもう一度観返すと、その深い物語にきっとハマるはず。ウルトラマン初心者の方も是非、ここからウルトラマンシリーズを好きになってほしい。

文・太田陽介(都恋堂)