第35回モスクワ映画祭コンペティション部門の審査員特別賞を受賞した『さよなら渓谷』(公開中)の大ヒット舞台あいさつが24日、東京・有楽町スバル座で開催。主演の真木よう子と大西信満が登壇した。
芥川賞作家・吉田修一の同名長編小説を、『まほろ駅前多田便利軒』(2011年)の大森立嗣監督が映画化した本作。残酷な事件の被害者と加害者の複雑な思いが絡み合う、深い人間ドラマだ。モスクワ映画祭は、カンヌ、ベルリン、ヴェネチアと並ぶ世界四大映画祭のひとつで、審査員特別賞は最優秀作品賞に次ぐ賞となった。受賞後、映画は大ヒットし、公開時は13館だったが、いまは100館を目指して拡大公開中だと発表された。
真木にとっては、同賞を受賞後、初の舞台あいさつとなり、「撮影の時は本当に苦労したので、それが認められたって喜びはハンパなかった」と喜びをかみしめた。真木は、是枝裕和監督作『そして父になる』(9月28日公開)で第66回カンヌ映画祭へ行き、同作でも同映画祭コンペティション部門で審査員賞を受賞している。「ふたつの作品で賞をいただくのは、信じられないほど光栄なこと。誇らしいし、これからの女優の仕事の自信にもつながりました」と大喜び。海外の映画祭に何度も参加している大西も「コンペ部門は特別なもの。作品賞に次ぐ2番目の賞をいただいたことがものすごく嬉しいし、多くの方に見てもらえる機会が増えたってことが何よりも嬉しいです」と語った。
また、真木は「去年の夏、(ヒロイン)かなことして過ごした時間が、まるで自分の過去みたいになっています。そういう作品はなかなかない。それだけで貴重です。大森(立嗣)監督のチームがすごく良かったし、大西さんも含めて素晴らしい出会いでした」と、感慨深い表情を見せた。大西も「すごく集中して取り組んでいたので、たとえこの先10年間、真木さんと共演する機会がなくても、一瞬で戻れるような人間関係が築けました。そういう現場だったので、スタッフも含めてこの出会いは、自分の財産になると確信しています」と続けた。最後は、モスクワ映画祭のトロフィーを手に、笑顔でフォトセッションを行った。