スターバックス・コーポレーション会長兼社長兼最高経営責任者(CEO)のハワード・シュルツ氏は5月10日、スターバックス コーヒー ジャパン本社で会見を行い、年内に「スターバックス」日本店舗が1,000店舗を超える見込みであることを発表した。北米以外の地域で出店数が1,000を超えるのは日本が初めてとのことだ。

スターバックス・コーポレーション会長兼社長兼最高経営責任者(CEO)ハワード・シュルツ氏

スターバックスは現在北米で約12,400店舗、北米以外の地域・国で約6,500店舗を展開しているが、インターナショナル店舗の第1号は1996年に東京・銀座でオープンした「銀座松屋通り店」。シュルツ氏は「日本での成功がなければその後の世界的な展開はなかっただろう」と語った。

"日本第1号店"オープン秘話

日本1,000店舗を目前にしたスターバックス コーヒー ジャパンだが、1996年8月の第1号店オープンの際には、「夏の日本であたたかいコーヒーを出す店をオープンさせるなんて信じられない」と言われていたそうだ。

「現地入りし、日本の暑さ、湿度の高さを体感して『冬にすればよかった』と後悔したほどでした。スターバックス コーヒー ジャパンの役員に『あまり人が訪れないのではないか』と話すと、通訳が誤解したのか心配してくれたのか『出店はすばらしいものになるだろう』と訳してくれたのです。私は成功するように祈るしかありませんでした」(シュルツ氏)。

しかしオープン日の朝、店舗にむかったシュルツ氏が見たのは隣のブロックまで続く長い行列だった。「驚いて『サクラを雇ったのか?』と聞いてしまったほど。最初のオーダーは、なんとカスタマイズしたドリンクで、注文は『ダブル トール ラテ』。1996年8月2日のことでした」。

ダブル トール ラテはメニューには載っていないドリンクで、「スターバックス ラテ」のトールサイズにエキストラショットを追加したものだ。日本での注文第1号がカスタマイズドリンクだったことに驚いたシュルツ氏。しかし当時は、日本国内で1,000店舗を展開することになるとは想像もしていなかったという。

左からシュルツ氏、スターバックス コーヒー ジャパン代表取締役CEO 関根 純氏

ベトナム、インド、中国やラテンアメリカなど世界中に店舗を展開する同社だが、「その基盤は日本にあり、この17年間の絆に誇りを持っている」。日本の景気が回復傾向にあるなかで、今後も地域の良さを取り入れた店舗を展開していきたいと語った。