2012年4月より、23年ぶりの新シリーズとして放送され、今年4月から新章「新生聖衣(ニュークロス)編」に突入するTVアニメ『聖闘士星矢Ω』の記者会見が14日、都内で行われ、声優の緑川光、古谷徹、水島裕と長峯達也シリーズディレクターが登場し、新章に向けた意気込みを語った。
TVアニメ『聖闘士星矢Ω』は、1986年~89年に放送された車田正美原作のTVアニメ『聖闘士星矢』の完全新作として昨年4月より放送がスタート。前作の次世代を担うの聖闘士(セイント)が聖衣(クロス)と呼ばれる戦闘衣を纏い、女神アテナを守り戦う戦士たちの姿が描かれる。4月から始まる新章では、女神アテナと敵対する女神パラス、彼女に付き従う戦士・パラサイトたちとの戦いが繰り広げられる。主人公・光牙たちがまとう「聖衣」のデザインをリニューアルされ、「聖衣箱」(クロスボックス)に収められそれぞれの星座をモチーフとしたオブジェ形態の聖衣となり、原作漫画を彷彿とさせる設定に一新。
古谷演じる星矢は、初代『聖闘士星矢』の主人公であり「天馬座(ペガサス)の青銅聖闘士」として活躍したが、『聖闘士星矢Ω』では「射手座の黄金聖闘士」として登場を果たしている。古谷とオリジナル版の『聖闘士星矢』で共演した旧友・水島は、新章で鋼鉄聖闘士(スチールセイント)で12歳の少年・昴(すばる)として出演。シリーズディレクターの長峯は映画『ONE PIECE FILM Z』などで知られる実力派で、「新生聖衣編」から監督を担当する。
古谷徹、新章で緑川光にライバル宣言!!
まず、一年間続いた『聖闘士星矢Ω』が新章を迎えるにあたって緑川は「今一年間通してやらせてもらえるアニメはあまりなくて、自分が普段やらない役柄を演じさせていただいたので、刺激的な一年でした。それが二年目もとは夢にも思いませんでした。前のめりに参加したくなるようなとても楽しみな物語なので、自分でもよりいい芝居ができればと思います」と語れば、古谷も「僕にとってはライフワークとも言える作品なので、新しいTVシリーズが2年目に突入して感慨深い。星矢は光牙たちを見守る立場でしたが、新章では射手座の黄金聖闘士として戦う予定なので楽しみにしています」と前線で活躍することを強調した。
新章から参加の水島は、初代『聖闘士星矢』で白銀聖闘士(シルバーセイント)の蜥蜴星座(リザド)のミスティ、アニメオリジナルの神闘士(ゴッドウォーリアー)でゼータ星ミザールのシド、アルコルのバドを演じている。約27年ぶりの出演となった水島は「『聖闘士星矢』に帰ってきました。12歳の役を僕に振ってくれたテレビ朝日さんと東映アニメーションさんの勇気に拍手です。収録では古谷さんが"お前は12歳だからな"と耳打ちしてくるのが邪魔なんですが、皆さんに愛される昴を演じていきたいと思います」と取材陣を笑わせていた。
新旧天馬座の聖闘士の共演について古谷は、「赤ちゃんの頃から見守ってきた光牙が一年間の戦いで成長していったので、アテナを守る聖闘士として頼もしく思う一方、新章ではどこかライバル心のようなものがあるような気もして、どうなるか楽しみにしています」と光牙に対してライバル宣言とも取れる発言。これに対して緑川は「星矢といえばペガサス(天馬座)というイメージがあると思うんですが、そろそろ射手座の方に行って天馬座を譲って頂きたい……射手座の黄金聖闘士としてすごい技をバシバシ見せてもらいたいと思うので、ペガサスは安心して譲ってもらいたいと思います(笑)」と応酬。
人気投票に関する話題でも古谷が「前作では主人公なのに周りのキャラに上位を奪われていたが、やっと『Ω』で一位になれたので守って行きたい」と言えば、緑川も「光牙もちょっとでも上に行きたいですね」と、和やかな空気の中にも火花散る二人だった。なお、古谷は「前作のアイオリアのような気持ちで光牙たちと関わって行きたい」と初代『聖闘士星矢』で星矢たちを導いた獅子座の黄金聖闘士・アイオリアの名前を挙げていた。アイオリアは、射手座の黄金聖闘士・アイオロスの弟であり、この射手座の黄金聖闘士の後を『聖闘士星矢Ω』で星矢が継いでいる。
数々の香港映画でサモ・ハン・キンポーは水島、ユン・ピョウは古谷の吹き替えでおなじみの2人だが、アニメでの共演はオリジナルの『聖闘士星矢』以来だという。水島が「古谷さんは茶飲み友達で40年来の付き合いなので、スタジオに行って話す相手がいるのはうれしい。心の拠りどころですね」と語れば、古谷も「(水島は)なんでも話せる、受け止めてくれる相手なので、これからの一年はきっとスタジオが楽しくなると思います」と変わらぬ友情を見せていた。
そして、新章から監督を務める長嶺は、「『聖闘士星矢』はとにかく小宇宙(コスモ)を盛り上げて見ている人にぶち当てる作品だと思っています。役者さんの小宇宙を見ている子供たちにぶつけて、早朝ですが目が覚めるような作品にしたいです」と、作品について語れば語るほど思いが溢れるようにヒートアップ。見どころについては「キャラクターにライバルを作るようにしています。アテナを中心としたアテナ軍、パラスを中心としたパラサイト軍の戦いなんですが、アテナの側近に星矢がいるように、パラスにはタイタンという存在がいます。光牙と昴の切磋琢磨する関係などにも注目です」と解説。また、旧作に登場する「鋼鉄聖闘士」が本作にも登場することも紹介し、「アテナのグラード財団が科学と財力の力で作った人工の聖衣(鋼鉄聖衣)をまとった存在で、アテナを守る雑兵たちがこれを着て活躍することもあるかもしれません」という意味深なエピソードも明かしていた。
(C)車田正美/東映アニメーション・テレビ朝日・電通