函館市企業局交通部は11日より、8000形車両の新車・8010号の営業運転を開始した。旧811号から台車など床下機器(1966年製)を引継ぎ、車体のみアルナ車両製の新造車体とした車体更新車となる。
同車両は函館市電の主力車種として活躍する8000形の10両目。8000形はいずれも旧800形の台車と新造車体の組み合わせになっている。ちなみに価格は約8,500万円。函館市電としては、2011年4月にデビューした8009号に続き、2年連続の新車投入となる。8010号の諸元は、全長12.24m、全幅2.34m、全高3.7m。自重14.56トン。定員80名。台車(住友FS-77A軸バネ式)と電動機(日車NE-50B)は1966年製の旧811号のものを使用している。
車体には、同日より全国各地の鉄道事業者とトミーテックが連携して実施する鉄道スタンプラリー「全国"鉄道むすめ"2nd」にちなんで、函館市電運転士のキャラクター「松風かれん」をラッピング。車内では、「全国"鉄道むすめ"2nd」に関するポスターを掲出したほか、初便限定で復元チンチン電車ハイカラ號車掌のキャラクター「柏木ゆの」と「松風かれん」の等身大パネルを設置。ドアや運転席の近くをはじめ車内各所で「柏木ゆの」「松風かれん」が注意を呼び掛けるステッカーを貼り、車両上部の広告スペースにも両キャラクターのポスターを掲出するなど、「鉄道むすめ」一色の車両となっている。
11日午前9時55分からの初便運行には、道内各地や全国から訪れた鉄道ファンらが列を成して乗車。一時は「満員」の札を掲出するほどのにぎわいを見せた。初便運行の記念として、車内では先着100名に乗車証明書を配布。さらに初便限定の缶バッジや、同日より発売の「全国"鉄道むすめ巡り"2nd」(ミニスタンプとIDカード風バッジのセット)など、グッズの車内販売も実施した。
旧811号の台車を引き継いでいるため、走行時の乗り心地などが格段に上昇したというわけではないが、白やベージュ系を基調とした真新しい車内は見るからにさわやかで、明るい印象を与える。函館市民はもちろんのこと、函館を訪れる旅行者にとっても、旅の楽しい思い出のひとつとなりそうだ。