スタンダード&プアーズ・レーティングズ・サービシズ(以下「S&P」)は10日、スペインの長期ソブリン格付けを「BBB+」から「BBB-」に2ノッチ(段階)、短期ソブリン格付けを「A-2」から「A-3」にそれぞれ引き下げた。長期ソブリン格付けのアウトルックは「ネガティブ」。
格下げは、経済および政治面での圧力の高まりにより、スペインの財政に対するリスクが増大しつつあるとのS&Pの見方を反映している。S&Pでは、中央政府の政策は以下の要因により制約される可能性が高いとしている。
深刻化する景気後退により社会の不満が増大し、中央政府と地方自治体の間で緊張が高まる可能性がある。
欧州連合(EU)加盟国間の政策策定の枠組みは、依然として予見可能性に欠けるとS&Pは考える。最近の発言から、S&Pでは、2012年6月29日のEU首脳会議で発表された、銀行とソブリン間の悪循環を断ち切るためのコミットメントによって、ESM(欧州安定メカニズム)から欧州の大手銀行への資本増強が可能になることはないとみている。S&Pの従来の想定は(8月1日に同国の格付けを据え置いた主要な要因であった)、経営難に陥ったスペインの金融機関への公的融資は、最終的にはEU加盟国で相互負担され、これにより、スペインの一般政府純債務は2015年以降も対国内総生産(GDP)比80%を下回るというものであった。
S&Pではスペインの統治機構(国内および多国間の機関等とも)が現在の経済・財政危機に起因する深刻な問題に対処する能力は低下しているとみており、したがって、格付け規準(2011年6月30日付「Sovereign Government Rating Methodology And Assumptions」)に準じて、同国の長期ソブリン格付けを2ノッチ引き下げた。