古谷敏、アマギ隊員になる

――『ウルトラマン』のご出演を終えられた後、車の免許を取られたそうですね

古谷「ウルトラ警備隊の隊員の中でアマギ隊員の役が一番最初に決まったものですから、隊員っていうのは運転しなきゃいけないと。それで、即。東宝から歩いてすぐのところに教習所ができてましてね。撮影に入るまでに半年くらいありましたから、東映の『キャプテンウルトラ』を放送している間に、そこへ行って運転免許を取って。それで『700キロを突っ走れ!』とかね」

――ダン隊員と一緒に自動車レースに出場するドライバーの役どころですね

古谷「若葉マークですけど(笑)」

――まだ、取りたてで……(笑)。ちなみに、ウルトラ警備隊のポインターは10年落ちのクライスラーのインペリアルという車を改造したものだったそうですが、運転しづらくありませんでしたか?

古谷「しづらいですよ、教習所は日本車で習ってますから(笑)。外車なんてのは、ハンドルの位置も違うしね」

――ウルトラ警備隊員は、左腕にビデオシーバーをはめてますね。普通、腕時計しているところですが。隊員服に着替えるときは、腕時計を右腕にはめ直して、左にビデオシーバーを……

古谷「みんな右利きだから、左腕にビデオシーバーでいいわけですよね(笑)」

――ウルトラ警備隊の作戦室は、『ウルトラマン』のときに美セン(東京美術センター)の科特隊の本部のセットを組んでいた、その同じ場所ですか?

古谷「そうです。奥行きがないセットでね。でも、映像を観るとすごい廊下が長くて。あれはやっぱり、デザイナーの成田亨さんのおかげですね」

――お書きになったご本を読ませていただくと、『ウルトラマン』では科特隊本部のセットが暑いので、石井伊吉(現・毒蝮三太夫)さんや二瓶正也さんが外に涼みにくる話が出てきますが、ウルトラ警備隊の作戦室もやっぱり暑かったですか?

古谷「暑いですよ、冷房装置がないから。でも、撮影用のでかい扇風機だと、(風で)みんな飛んじゃいますからね(笑)。それで、外でジェネレータ回して、蛇腹の管で空気を送る。それでも暑いんですよ。隊員服の生地も厚いですしね。でも、そんな暑さなんて、ウルトラマンに入ってるときに比べれば全然ましなんですよ。マスクを触ると、やけどしそうな熱さで。チャックなんて素手じゃ……」

――金属でできてるから……

古谷「降ろせない。だから、ペンチ持って。ライトがね、最初のカラー作品ですからね、すごい量なんですよ。昔の東宝撮影所のでかい照明を借りてきて、それでやってますから。セットは狭い、ライトはでかい。もう、生き地獄で」

――もうこれ以上がんばったら死んじゃいますってときは、どうなさるんですか。両手でバツ印作ったりとか

古谷「そんなことやってると……(気がついてもらえない)。もう、とにかく、こんな感じ(両手を挙げてバタバタさせて)で。それで、すぐ、操演とか助監督の人が飛んできて」

――正に死と隣り合わせみたいな……

古谷「だから、隊員に昇格したら、こんなに楽なんだと思って(笑)」

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