味の素と日本オリンピック委員会(JOC)はこのほど、味の素ナショナルトレーニングセンター(東京都北区)を利用するアスリートに対して行った「体調管理」についての調査結果を発表。睡眠はアスリートのパフォーマンスの発揮に欠かせない重要な要素であることが明らかになった。
味の素ナショナルトレーニングセンターを利用するアスリート110名(男性86名、女性23名、無回答1名。平均年齢23歳)を対象に、3月12・13日に調査。まず、睡眠時間について尋ねると、アスリートの平均睡眠時間は8時間4分ということが分かった。これは、東京のビジネスパーソンの平均睡眠時間である5時間59分(味の素調べ)と比べると2時間5分も多く、アスリートが積極的に睡眠をとっていることがうかがえる。
さらに、平均睡眠時間8時間4分のうち、夜間の睡眠時間は平均6.9時間で残りは“昼寝”という。「いつも」「トレーニング期間中」「試合期間中」を合わせると、68.2%ものアスリートが昼寝を取り入れており、その平均時間は1時間36分と算出された。一般的に睡眠の1サイクルは90分(1.5時間)であることから、アスリートは昼寝で1サイクルの睡眠をとっていることになる。
次に体調管理における各項目について、「とても重要」「重要」「それほど重要ではない」のどれに当てはまるか尋ねたところ、「とても重要」の回答率が最も高かったのは「しっかりと眠る」(84.5%)であった。
試合前の体調管理について重要だと思うことの回答を求めると、パフォーマンスに直結する「バランスのよい食事」「体重コントロール」(ともに42.7%)に次いで、「しっかりと眠る」(41.8%)が3位にランクインした。その差は僅差でほぼ横並び。“睡眠もパフォーマンスに影響を与える”と認識されているようだ。
しっかり眠れない場合の練習・トレーニングや試合に生じる支障についても聞いたところ(回答数は61)、「集中力が続かない」が73.8%でトップ。次いで「やる気がでない」(62.3%)、「パフォーマンスが落ちる」(60.7%)が続いた。この結果に対して早稲田大学 スポーツ科学学術院 教授 博士(医学) 精神科医の内田 直氏は、「身体能力は1日眠らなくても落ちませんが、“集中力”“やる気”など脳が関係することに関しては睡眠不足の影響が出やすい傾向にあり、しっかり眠ってよい競技パフォーマンスへとコンディショニングを整えることが大切」と述べている。
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