日本のホラー映画ブームを巻き起こした映画『リング』。テレビ画面からはいだしてくる貞子の姿は、今も目に焼き付いているという人が多いのではないでしょうか。その貞子が5月12日(土)に3Dになってスクリーンによみがえるとのこと。そこで今回はホラー映画にスポットを当てて、心理学の観点から人間が恐怖を感じるのはどんなときなのか、心理学者の内藤誼人(ないとうよしひと)先生にお聞きしました!

身近さや信ぴょう性があるホラー映画が怖い!

「本当に怖いホラー映画は、自分にとって身近に感じられて、信ぴょう性がある映画。自分にも起こり得るかもしれないと思ったとき、人は恐怖を感じるのです。例えば、アメリカが舞台のモンスターが出てくる映画よりも、日本が舞台で先祖の霊に苦しめられる映画の方が、より恐怖を感じませんか? これは心理学的なデータでも実証されています。アメリカのジョージア州にあるサウス・ウエスタン大学のエレン・コッターは、大学生62名に都市伝説に関する調査を行いました。大学内でうわさの15の都市伝説のうち、どの都市伝説を人に話したいか点数を付けさせたのです。人間は不安を感じると人に話したくなる習性あり、そのメカニズムを応用して人に話したいか数値化することで、どれぐらい怖いかどうかが分かるのです。その結果、上位にランクインしている都市伝説は、身近で信ぴょう性のあるものばかりでした。人間は、自分が想像できるような身近なものに恐怖を感じると言えます」(内藤先生)

 では、心理学的な観点から本当に怖いホラー映画を作るとしたら、どんな作品になるでしょうか?

「私たちが住んでいる住宅街に潜む恐怖を描くかな。海外のホラー映画のように、ゾンビや巨大なモンスターが出てくる映画よりも、私たちの身にも起こるかもしれないといったシチュエーションが、実は一番怖いんです」(内藤先生)

 そういえば、映画『リング』も視聴者にとってとても身近な「ビデオ」がストーリーの重要なカギを握っていました。身近なアイテムが登場することで、自分にも起こるかもしれないという心理にさせ、より怖さを与える効果があるようです。

ホラー映画がヒットする理由

 ところで、人はどうしてホラー映画を観たくなるのでしょうか。心理学的にはどんなメカニズムが働いているのか、教えてください。

「人間は未知なものがあると怖いんです。ですから、結末を知って安心したいという気持ちが、映画館に足を運ばせるのではないでしょうか」(内藤先生)

 ホラー映画を観たくなるのは「怖いものを知っておきたい」という気持ちからなんですね。確かにホラー映画を見終わったときって、独特のスッキリ感があります。う~ん、久々にホラー映画を観たくなってきました!

文●ペンダコ

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