業務用食材・加工食品製造販売のあじかんと、ヤヱガキ発酵技研は、共同で開発した麹発酵技術を用いて、高いプロテアーゼ活性と抗酸化活性を有する麹発酵ごぼうを使い、広島大学大学院生物圏科学研究科の加藤範久教授と共同で、ラットを用いた動物実験を実施した。

ごぼうの内臓脂肪の蓄積予防作用を検証-「あじかん」サイト-イメージ

今回の研究成果は、5月18日~20日に開催される第66回「日本栄養・食糧学会大会」(会場:東北大学・川内北キャンパスほか)にて、広島大学が発表する。

「発酵黒ごぼう」の抗肥満作用、善玉ビフィズス菌の増加を確認

同研究では、「大腸疾病危険因子とされている高脂肪食を摂取させた、ラットの腸内環境に及ぼす麹菌発酵ごぼう粉末の影響」について検討した。4週齢のSD系雄ラットを1週間予備飼育後、高脂肪食(30%牛脂)を基本食として、同社が開発した麹菌発酵ごぼう乾燥粉末「発酵黒ごぼう」を5%添加した飼料を与え、3週間飼育。「体重変化、飼料摂取量」「血中の脂質やグルコース」「副睾丸脂肪と腎周囲脂肪重量」「糞中のIgA、ムチン」「盲腸の腸内細菌叢」を調べた。

その結果、「体重変化、飼料摂取量」はコントロール群と差がなく、「血中の脂質やグルコース」も変化しなかった。一方、内臓脂肪である「副睾丸脂肪と腎周囲脂肪重量」は発酵ごぼう群で有意に減少した。「糞中のIgA、ムチン」も著しく増加し、また、盲腸の腸内細菌叢については、発酵ごぼう群でビフィズス菌(Bifidobacterium)が同様に著しく増加していた。現段階では動物実験の結果だが、ヒト腸内のビフィズス菌は、加齢とともに減少するため、発酵ゴボウの摂取により、ビフィズス菌が増加する可能性を示せたことは画期的な発見といえる。

なお、同研究では、ごぼうを焼酎や泡盛の醸造でよく使用される麹菌(Aspergillus awamori)で発酵させており、ごぼう本来の機能性に加えて、麹菌菌体および麹菌の産生するプロテアーゼなどの代謝物が、抗肥満作用および腸内環境改善効果に大きく関わっているものと推測される。同社では、詳細な作用メカニズムについては、今後明らかにしていく予定で研究を進めていくとしている。

【関連リンク】

健康食材の成分含有第一位は「焼のり」-オムシード調査

ゴハンが進む!ごぼうと豚肉の味噌煮の作り方

コーヒー代わりに「ごぼうのカプチーノ」を飲んでみない?