せつない歌詞と包みこむような優しい歌声が人気のアーティスト青山テルマさん。幼いころからインターナショナルな環境で過ごした彼女にとって、英語は身近であり特別なものであると言います。そんな青山テルマさんに、英語の魅力また上手に身に付ける方法について伺いました。
―英語と出合ったきっかけを教えてください
私はクオーターですが、家族は実は誰も英語がしゃべれないんです。それでも私はインターナショナルスクールに通っていたので、小さいころから英語を学ぶことができました。スクールでは、友だちと遊ぶことで英語を覚えていったし、とにかく勉強がすごく楽しかった。新しい言葉を覚えるというよりも、「yellow」や「red」ってどういう意味なんだろう?とか、一つの単語の意味を知ることに興味がありました。そのころから洋楽にハマっていったので、英語も音楽の一部になっていた感じです。
中学に入り、もっと英語や音楽を学びたいとロサンゼルスに留学しました。日本人が多く住むエリアだったけど、意識的に日本語を使わずに生活しました。このときの生活が今でもずいぶんと役立っています。特にネイティブの発音を覚えられたのは本当によかった。「あなたはカルフォルニア出身?」なんて聞かれたこともあるもの(笑)。
―歌詞がとてもすてきなのですが、英語でつくるのですか?
今は日本語で書いています。帰国したばかりの頃は、ずっと英語で歌っていたからオーディションを受けても、「キミの歌は歌詞も良くないし、歌い方も日本人の耳に入らない」って言われて、すごく悔しかった。
とにかく日本でメジャーデビューしたかったので「日本語をベースにしなきゃ!」と、日本語の本を朗読したり、歌詞を書くときも日本語でしか書かないようにしたりしました。もちろん英語で書きたいけど、日本でデビューしたいなら日本語を大切にすべきと思ったの。バイリンガルって、いいところもあるけど悪く言えば中途半端なのかもしれません。
朗読については、日本語の本や詩集、ほかの人が書いた歌詞を読んでいました。「この人はどういう気持ちで、どうやってこの歌詞を書いたんだろう」って想像しながら、気持ちを込めて大きな声で読みました。私は英語から日本語だったけど、朗読は英語を身に付けたい人にもおすすめの方法です。発音が良くなるためには、とにかく声を出さないといけないから、音声を聞きながら、ドンドンまねして発音するのは効果的だと思います。
―テルマさんが感じる英語の魅力について教えてください
世界中、どこに行っても問題がないこと。どこに行っても通用するし、英語が話せた方が人一倍楽しめる気がします。現地の人と普通に会話ができるのもいい。日本語だけだったら「日本」というリミットが付いてしまうけど、英語だったら、ヨーロッパに行っても、ジャマイカに行ってもアジアに行っても通じるのがすごく面白い。
あとはコミュニケーション。この前、Nicki Minaj(ニッキー・ミナージュ)が来たときに対談させていただいたんです。直接話ができたから、二人の距離がすごく近かった。でも、すごく好きなアーティストだったから緊張して文法を間違えそうになりました。いつもなら何でもない単語が急に出てこなかったり……。やっぱり、普段から英語を意識的に話していないとダメだなって感じました。
―日常から気軽にできる英語の勉強方法はありますか
まずは、自分の好きなところから入っていくといいと思います。好きな洋楽を何度も繰り返して聞くとか、好きな海外ドラマを見ることは苦にならないですよね。アーティストでいうと、Avril Lavigne(アヴリル・ラヴィーン)やBritney Spears(ブリトニー・スピアーズ)の曲は、分かりやすい英単語を使っているし、聞き取りにはおすすめ。あとはディズニー映画。メロディーはもちろん、使っている英語表現もキレイだし覚えやすいと思います。
Lady Gaga(レディ・ガガ)の歌詞は、上級者向きかな。ある雑誌に彼女がコラムを書いているんですが、表現力が多彩でボキャブラリーが半端なく豊富だし、記事を読むとすごく勉強になる。私も「アーティストとして負けられない。自分も表現力やボキャブラリーを増やさなきゃ」とモチベーションがあがります。
―最後に読者の方へメッセージをお願いします。
英語は、自分の可能性を無限に広げる道具だと思っています。だから、英語をツールとして夢をかなえていけたらいい。うまくいかないときもあるけど、努力すればきっとかなうと信じてほしいんです。
私自身の話をすると、自分から始めたことについては、終わらせないと気がすまない性格だから、大学進学も自分が決めたことだったから、どんなに仕事が忙しく、スケジュールがハードでもあきらめずに卒業しました。人間、超ガンバれば何でもできるし、本気でやろうと決めたらきっとかなうと思っています。
今の私の夢は、全米デビューとグラミー賞を取ること。これからは、リスナーも今以上にハイレベルなものを求めてくると思います。自分も先取って、いろいろな言葉や表現を勉強して歌詞にしていかないと、その時代が来たときに乗り遅れてしまうから、これからも「う~ん」っていっぱい悩みながら、進んでいきたい。常に自分にチャレンジし続けられる人でありたいですね。
■お話を伺った人
青山テルマ
1987年10月27日生まれ。奈良県出身の24歳。2012年に上智大学を卒業。2008年にリリースした2ndシングル『そばにいるね』(青山テルマfeat.Soulja)が55万枚の売り上げで爆発的に大ヒットし、2008年オリコン上半期シングルチャート第1位を獲得。繊細な歌声を武器に、数多くのアーティストとのコラボレーション楽曲を生み出している。5月16日には、2012年第1弾シングル『君に会えるから… feat.SPICY CHOCOLATE,RYO the SKYWALKER』をリリースする。
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