東京電力は6日、福島第一原子力発電所の汚染水の蒸発濃縮装置から堰の外に漏えいした水のうち、約150リットルが側溝に流入したと評価され、そこから一般排水溝を経由して海洋へ流出したとの想定を発表した。その結果、流出された全放射能量は約260億ベクレル(暫定値)だった。

福島第一原子力発電所では12月4日午前11時33分頃、福島第一原子力発電所の淡水化装置(蒸発濃縮装置)周辺の堰内に、同装置(3A)から漏れたと思われる水が溜まっていることを、協力企業作業員が確認。そのため、午前11時52分頃、運転していた同装置全体を停止したところ、午後0時14分頃に同装置からの水の漏えいは停止した。

その後、引き続き同装置周辺を含めて調査を行ったところ、午後2時30分頃、土台のコンクリートにひび割れがあり、そこから堰の外の側溝に漏えいした水が漏れ出ていることを確認した。

そのため、堰の外の側溝に漏れ出た水及び同装置から漏れた水、一般排水用の側溝内の水および一般排水用の側溝出口付近の海水についてサンプリングを行った結果、福島第一原子力発電所1~4号機側放水口から南側に約300メートル離れた一般排水用の側溝出口から海に流出したと判断した。

東京電力では、ひび割れが確認された堰の周囲および堰の外の側溝内に土のうを積み止水を行うとともに、側溝を土のうで封鎖してさらなる海への流出を防止している。また、同装置の堰内に溜まっている漏えい水(約15立方メートル)については、水中ポンプなどで回収している。

東京電力は、堰の外に漏えいした水のうち、約150リットルが側溝に流入したと評価。そこから一般排水溝を経由して海洋へ流出したと想定している。その結果、流出された全放射能量は約260億ベクレル(暫定値)だった。

同社では、この漏れた水の海洋流出にともなう影響として、放水口近傍の魚類や海藻などを毎日食べ続けるとして評価した場合、「成人の実効線量は、年間約0.0037ミリシーベルトであり、これは一般公衆が自然界から受ける年間線量(2.4ミリシーベルト)の約600分の1であり、影響はほとんどないと考えている」としている。

なお、蒸発濃縮装置は運転を停止をしているが、セシウム吸着装置、第二セシウム吸着装置、淡水化装置(逆浸透膜型)は継続して運転しており、淡水化処理した水は十分にあることから、原子炉注水への影響はないという。

同社は今後、漏えいの原因究明を行い、再発防止対策を講じるとしている。