最近、注目されている酵素だが、「酵素とは?」と改めて聞かれると、よく知らないという人が多いのではないだろうか。実際、種類が多く、機能も多彩な酵素を、ひと言で説明するのは難しい。そこで日本エステティック協会の認定エステティシャンに話をうかがった。

さまざまな働きがある酵素

説明していただいたのは、埼玉県久喜市で東洋医学をベースにしたエステティックサロン「アルファ・ホリスティックビューティー」を経営する菱沼里美さん。エステティシャン歴30年のベテランだ。

酵素は以前から注目されていたと菱沼さんは話す。「腸内環境が大切だと言われるようになり、腸内環境を整えるのに不可欠なのが酵素だとされたことからブームになったと思います」。酵素が何かということはわからないものの、体によさそうだというイメージも大きかったようだ。

酵素の種類は数多く、ひとつの酵素はひとつの働きしかしないという。体内では、そのほとんどが肝臓で作られる。種類は500以上に及ぶ。

酵素の主な働きは次のとおり。

・神経の働きを正常に保つ。
・食べ物をエネルギーに変える。
・ホルモンのバランスを調整する。
・胃や腸の消化吸収を活発にする。
・代謝を良くし、余分な脂肪を落としやすくする。
・体内の毒素を排出する。

そして、血液をきれいにすることでよい細胞ができ、美肌にも効果的。「美と健康のカギは、酵素にあるといってもいいでしょう」。

食事から酵素を摂取するには

体内で生産される酵素は「陽性酵素」という。これを活性化するには、植物性の「陰性酵素」を食事で摂取する必要がある。では、酵素を多く含み、摂取しやすい食品とは?

「旬のもの、野菜でできれば自然栽培されたもの、豆や穀物で発芽するもの、そして味噌、納豆、漬物といった発酵食品ですね。また、同じ食材でも食べ方や調理方法によって、酵素の働き方は違ってきます」。大根はすりおろすことで酵素がより活性化するという。すりおろすかわりに、よく噛むことが大切になる。

サプリ類等の摂取の仕方にもコツがある。酵素は40度前後の湿・熱があるときに効果を発揮する。そのため、冷えた体で酵素サプリ等を摂っても効果が出にくい可能性が高い。「手足や体が冷えている人も同じですので、体を温める温熱療法を行うことで酵素を活性化させます」。

酵素による美容法、ダイエット法は

菱沼さんがお客にすすめる美容法も尋ねてみた。「『食べ物が血液をつくり、血液が細胞をつくる』と言います。血液のもとをつくるのは大腸なので、善玉菌のえさとなる大腸をきれいにする酵素や、血液の状態をよくする酵素を摂取することにより、美肌、健康を目指すアドバイスをしています」。

さらに、ご自信も酵素ダイエット法を実践しているという。その方法は? 「酵素1日減食法というもので、宿便やダイエット、腸毒素排出を目指します。食事や間食はせずに、お湯やお茶を1日3から5合くらい飲みます。お茶はなるべく番茶にし、緑茶は飲みません。そして、空腹を感じ始めた昼過ぎくらいから、酵素の健康食品を数回に分けて飲み、空腹に耐えられないときは、本くずを使ったくず湯を1、2回飲み、翌朝は必ずおかゆを食べます。お腹を空っぽにすることで、酵素を活性化させます」。菱沼さんは、体重が増えたり体調が気になる時に、これを1ヵ月くらいの間、毎週1回行っている。

菱沼里美さん
日本エステティック協会 認定講師。CIDESCOインターナショナルエステティシャン。エステティシャン歴30年。サロン:アルファ・ホリスティックビューティー(埼玉・久喜市)を経営。東洋医学に基づく経絡(ケイラク)チェックでトラブルの原因を探り、根本的な改善へ導くケアを行っています。エステティシャンとして心がけていることは、向上心を持って常に学ぶこと。