次に取り組んだのが、今後の海外進出を見込んで、海外でも受け入れやすいようにと開発したオリジナルの肉の天ぷら。「つくるからには他にないものを」との考えのもと、厚みのある肉の天ぷらを目指した。メニューには豚の角煮の天ぷらもあるのだが、豚バラ肉をだしで茹でてから煮込み、これを揚げている。角煮の天ぷらというと濃そうなイメージがあるが、実際はだしで茹でた時に脂が落ちているので、意外にあっさりいただける。
「にく好」(900円)。牛ヒレや豚角煮など肉天ぷら主体の天ぷらセット。17時以降に提供し、つまみとしても人気。天つゆの他、塩で食べるのもオススメ。プラス300円で、ごはんと味噌汁、食べ放題のイカの塩辛をセットできる |
また牛ヒレ肉の天ぷらは、厚くカットしたものを日本酒でフランベして臭みを取り除き、その後衣付けして揚げ、レアに仕上げる。話題になるようなネーミングや見た目を工夫しつつも、「洒落やギャグだけでは一回の利用で終わりだ」と、あくまで味にこだわって開発しているのである。とはいえ、豚の角煮、牛ヒレ、骨付きモモ肉、チューリップ、骨付き豚スペアリブという5種類の肉の天ぷらをのせた「肉肉肉肉肉天丼 NTD」(1,100円・18時以降は100円アップ)に至っては、誰でもそのボリュームに仰天してしまうことだろう。
デザート天ぷらも用意
揚げ油は、専門店でよく使われているゴマ油では重くなりすぎるため、綿実油とコーン油のブレンドを使用。衣の生地もこまめにつくり、薄くサクッとした仕上がりを工夫。揚げてみておいしいと思った食材は何でも揚げており、天ぷらは単品だと「小海老とレタスのかき揚げ」(350円)など30~40種類を揃える。
デザートにも挑戦しており、「バウムクーヘンの天ぷら バニラアイスクリーム添え」(450円)まで提供する。新宿御苑前店では昼は丼物を中心に提供し、17時以降は単品や天ぷらのセットも提供。焼酎やチューハイ、カクテルなどアルコールも揃えており、お酒とともに楽しむお客も多いという。
原価は現在約35%。藤本氏が前職の人脈も活用して仕入れを行ない、ギリギリまで抑えている。それでもやや高めの数字だが、居抜き物件も活用して設備投資をできるだけ抑え、そのコストカット分を食材にまわしているのだという。これはお客としてはうれしいかぎり。
今後は、まず2~3年のうちに東京で10店舗を展開予定。そこでブランディングを行い、海外進出するという。「ふじ好」の天ぷらが世界基準になる前に、一度は食べてみてはいかがだろうか。
※メニュー内容や価格は店舗により異なる。記事中の価格は新宿御苑前店のもの