一週間のドイツ出張。宿泊していたフライブルク(南ドイツの地方都市)近郊に住む知人が観光案内をしてくれるというので、お言葉に甘えることにした。
しかし残念ながら、窓の外は朝から泣き出しそうな曇り空。昨日までは好天続きだったのに、ちぇっ。と、恨めしく思いながら薄手のコートを羽織る。ポケットには、発売されて間もない「EXILIM EX-ZR100」。コンパクト機ならではのフットワークの良さに加え、カシオ最新のデジタル技術による総合的な高性能が心強いカメラだ。ベベルと曲面が織りなす上品なシェイプを持つスタイリッシュなボディデザインも、ヨーロッパの街並みによくマッチする。
やがて、フロントからのコールが鳴った。「グーテンモルゲン! 待ち合わせの方がいらしていますよ」
ライン川を越えてフランスの古城へ
迎えに来てくれた知人の名はラルフ。語学教師という職業柄、丁寧な英語を話してくれるので、ドイツ語がからっきしな私でもなんとかコミュニケーションを取ることができた。彼の愛車メルセデスSLK200コンプレッサーに少々(本当はかなり)面食らいつつ、ナビシートに座っていざ出発。最初に向かったのは、国境のライン川を渡ったフランス・アルザスの古城、オー・クニクスブール城。
標高755メートルの山頂に築かれたこの城は、12世紀初頭の記録に初めて登場する。城を中心として南北に小麦とワインの街道、東西に塩と銀の街道が貫き、古くから交易の要衝となるが、その歴史は激流に翻弄され続けるものだった。それは、神聖ローマ帝国時代から、戦争のたびにドイツ領化とフランス領化をくりかえしてきたアルザスの歴史そのものともいえる。
城の構造には要塞としての性格が色濃く表れており、砲撃用の覗き穴や跳ね橋を兼ねたゲート、マシクーリ(石落とし)、堡塁などが各所に設置されている。また、当時の鎧甲冑が並ぶ武器庫に加え、みごとな装飾や壁画が施された礼拝堂、皇帝の部屋などを見ることができ、中世から三十年戦争の時代を現代に語り継ぐ資料館となっている。
日本にも美しい城がたくさんあるけれど、これほど歴史の重みを感じさせる建物は見たことがない、とラルフに話すと、彼は「でも、現在の姿は新たに修復された部分も多い。残念だけれど」という。そうなのか。いつごろ修復されたの?
「100年前だよ」
十分古いよ…。さすがヨーロッパ人、歴史の時間感覚が違う。「京都で"先の戦争"といえば応仁の乱のこと」そんな話を思い出した。
大砲の出現とともに、城の構造は大きく変わった。オー・クニクスブール城は多くの資料とともに、戦争の無常もまた現代に伝えている |
暗くなっても安心のフルオート「ベストショット」モード。自動的に夜景と判定して、美しい写真に仕上げてくれる |
ところで、伝統的な建物の中はどうしても光量が不足気味で、手ぶれやピンボケを多発しやすい。その点、高感度な裏面照射型CMOSとセンサーシフト型手ぶれ補正機構を持つEX-ZR100には大いに助けられた。また、広角側が24mmスタートの光学12.5倍ズームとなったのもポイントが高い(同社ZR-10では28mmスタートの7倍ズーム)。超広角の画角を利用した迫力ある構図は、スナップ、風景写真ともに大きな武器だ。……つづきを読む