朝の時間を活用した講座の先駆け的な存在として知られる「丸の内朝大学」。この春、木こりクラスや手芸クラスなど、ユニークな新講座を含んだ9学部22クラスを開講する予定だ。単なる「朝活」を超えたその内容は、幅広く地域や時代、そして日本の姿をも見据えている。

「エコッツェリア協会」の教室(イメージ)。東京駅を見下ろす風景も魅力的だ。画像提供:丸の内朝大学

個性的、先進的なクラスの数々

「アーバン木こり」「ニッポンのお酒探求」「Yoga for Transformation」「能」……。ビジネススキルのみを追及するのではなく、さまざまな視点から人々のライフスタイルに訴えかける講座のラインナップは、眺めているだけでも刺激的でわくわくしてしまう。

一般的な「朝活」として人気の高いクラスとともに、このような個性的なクラスがいろいろとそろっているのが「丸の内朝大学」の最大の特徴だろう。今年も開講される「農業クラス」などは、地方でのフィールドワークも実施していて、たいへん人気が高いという。

東京で生活し仕事をしている受講生と、日本の地域が結ばれる講座が目立つのも「丸の内朝大学」ならではのことだ。

「環境・ソーシャルプロデューサー」クラスの様子。幅広く企画のつくり方などを学ぶ。画像提供:丸の内朝大学

「写真コミュニケーション」クラスでは、撮影技術だけではなく、被写体とのコミュニケーションも重視している。画像提供:丸の内朝大学

「農業クラスむのフィールドワーク風景。食へのリテラシーへ関心の高い受講者も多い。画像提供:丸の内朝大学

エリアの発展を目指す活動から誕生

「丸の内朝大学」が始まったのは2009年4月のこと。それ以前も2006年秋から計5回にわたり、朝の時間を有効活用することをテーマとした「朝EXPO in Marunouchi」というイベントを行ってきたが、反響が大きかったため「丸の内朝大学」の誕生となった。

広報担当の宇田川さん。今回の受講生募集は3月14日から。先着順で募集は締め切りとのこと

運営しているのは2007年に設立された「エコッツェリア協会」。大手町、丸の内、有楽町地区のまちづくりを目的とした社団法人だ。「街の人々の環境意識を変えることを目的として設立されました」と広報担当の宇田川裕喜(ゆうき)さんは話す。同協会は、エリア内の企業と協力し、産官学民とのパートナーシップを図り、エコに関する活動やエリアの発展などを目指している。

一般的な「朝活」とやや異なるのは、そのような経緯にも関係しているようだ。街の課題や環境について考え、地方との連携も図る中から、「朝、ここにしかないクラス」(宇田川さん)を追求しているのが、「丸の内朝大学」なのである。

広がる受講生のネットワーク

受講生の7割は女性で、およそ半分が30歳代。3~4割が周辺に勤務しているが、アクセスがいいので通勤途中で通うのにも便利だ。会場は新丸ビル10階のエコッツェリア協会のほか、周辺に15カ所用意されている。

他の「朝活」同様、仲間がいることは、受講生の朝の活動に取り組むモチベーションを上げているようだ。クラス終了後の結びつきも強く、受講生たちのネットワークは広がっている。「丸の内朝大学」には、盛り上げ役としてクラス委員もいて、グループワークやフィールドワークを積極的に行っている。会社名や肩書きを忘れて学生気分になれる朝大学、ここで出会った仲間は「特別な友人」なのだと宇田川さんは語った。