1年を締めくくる祭典がはじまります

今年も残すところあと数日。忘年会もおおかた終わり、あとは新年会に向けてしばしの休肝日が続く毎日か、あるいは大掃除に着手しようと重い腰を上げたところか。年末の過ごし方は人それぞれだが、年末は「もちろん冬コミだよね☆」と揺るぎない信念をもって臨む猛者も少なからずいる。いよいよ、29日(水)~31日(金)に「コミックマーケット79」が開催される。

コミックマーケット準備委員会公式サイトによると、12月の年末に行われるコミックマーケット、いわゆる「冬コミ」には2007年でのべ50万人が来場したというのだから、オタクパワー恐るべし。まぁ、客観的に申し上げたが、そんな一オタクとして人生の半分以上コミケに通っている筆者だから少しばかりの暴言もお許しください。

寒さと暑さが交錯する冬コミ対策

今年の夏は、こっそり夏コミ時の熱中症対策記事を書いた。冬は夏ほどの備えは必要ないだろうと高をくくっていたのだが、周囲のコミケ仲間から「甘い!」とおしかりを受けたので心を入れ替えた。というわけで、防寒対策である。いや、防寒というより暑さ対策なのである。それはなぜか。

冬コミ 防寒対策5箇条

・その防寒対策やりすぎじゃない? 自分のスケジュールをしっかり確認
・行列待ちは防風対策をお忘れなく
・会場内は熱気がすごい! 温度調整できる服装で
・水分補給はしっかりと
・バッグは大きめかエコバッグなど用意すると吉

コミケに何度も足を運ばれた方はよくわかっているので私が説明するまでもないが、コミケ初心者のために説明すると、コミケ名物の大行列に並ぶ人にとって、行列待ちはフルコースでいえば前菜のたぐいである。メーンはもちろん、東京ビッグサイトの会場内で同人誌を買ったり、コスプレ会場に赴いたり、はたまた企業ブースでお目当てのアイテムを購入したりすることだ。そこで問題となるのが、会場の中と外との寒暖差となる。

たとえば、同人誌購入が目的とする。そうなると、通称「壁サークル」といわれる人気の同人サークル以外に並ぶ場合は、会場内の移動がメーンとなる(壁サークルに並ぶ場合はいったん建物の外に出て並ぶ必要がある)。この会場内、防寒ばっちりの服装でうろつくと「ふざけるな」といいたいぐらいの熱気に当惑する。防寒対策に力を入れるあまり、会場内の熱気を忘れがちだが、これはきちんと対策を練っておいたほうがよいだろう。

厚着をしすぎて会場内で汗をかいてしまったが、上着を脱ぐと手荷物が増えて困るし……なんてことは冬コミではたやすく予測される事態である。かくいう筆者も、同人誌購入に支障がでることを恐れるあまり、汗をかいたまま放置した結果、正月三が日を風邪で台無しにしたという苦い過去を持つ。

初めて冬コミに参加する初心者にはそんな経験はしてほしくない。冬コミ時の寒暖差対策について紹介していく。

冬コミ参加をシミュレート!

冬コミに参加して少しは行列待ちなども体験したい人なら、大体10時ぐらいに東京臨海高速鉄道(りんかい線)の国際展示場駅に到着すると1時間強の行列待ちで会場内に入れるからおすすめだ。あまり早いと疲れてしまうだろうし、12時を過ぎると制限が解除され、行列待ちを体験できない可能性もある。

10時に並び出すとして、会場入りは大体11時から11時半ぐらい。早ければ11時前に入れることもある。それから、同人誌を物色して1~2時間、ついでにコスプレ広場なども見て回るとしよう。初めてであれば、壁サークルに並ぶこともあまりないだろう。あったとしても1サークル程度だと想定する。

その場合、まず防寒対策は最初の行列待ちの1時間。ここでもっとも堪えるのが海風だ。東京ビッグサイトは海に臨んだ立地で、冬は特に冷たい海風が行列待ちを直撃する。フード付きのコートやマフラー、帽子などがあれば、とりあえずはOKだ。1時間程度の行列待ちなら入場待機場で待ち続ける時間は少なく、少しずつ移動をしながら会場に近づいていく。大勢の人間と一緒に移動するので、外とはいえ思ったほど寒さを感じないだろう。

東京ビッグサイトの建物内に入ると、大勢の人がごった返しているので当然熱気がすごい。この熱気の中で1~2時間過ごすと、暑さを感じてくる。そのため、できれば上着の下にはセーターの重ね着などで温度調節ができるようにしておくとよい。上着を脱ぎたくなる場合もあるので、できれば上着はかさばらないものを用意するか、上着を収納するためのエコバッグなどを持参すると便利だ。最近のダウンジャケットにはくるくるとまるめることができて、かさばらないタイプもあるし、家にあるコートやジャケットの中でもっともかさばらないものをチョイスすれば十分だろう。

私はヒートテックのインナーの上にニットのアンサンブルを着用。その上に少々薄手のマッキントッシュコートを着用する。フード付きだし、風を通さないので薄手なりに防寒対策としては優秀だ。脱いだときにほとんどかさばらない点も重宝している。下はもちろんズボン。女性だとスカートという選択肢もあるが、夏と同様、会場内で床に座って荷物整理をする場面もあるかと思うのであまりおすすめはできない。

マフラーや手袋などは適宜。行列待ちの時にゲームをしたり、カタログといわれるコミケのサークル紹介集を読んだりすると手袋はむしろ邪魔になる場合もあり、そのあたりは自分なりに調整するとよい。

冬コミ初参戦とはいいながら壁サークルや企業ブースに並ぶため再度会場の外に行くことが多い人は、防寒対策も十分に必要となるが、上記のようなことが起きかねないので、自分のスケジュールを勘案しながら、温度調節をはかれる服装をおすすめしたい。第一コスプレ広場は北コンコース1階レストラン街庭園で屋外だが、さっとみる程度なら防寒対策はさほど考慮する必要はない。

個人的に悩むのがおなかにカイロを貼るなどの行為。会場に入ったとたん暑くて捨ててしまう場合の方が私は多い。行列待ちのためだけにカイロを購入するのはもったいない。行列待ちが1時間以上ある場合など、こちらも自分の状況を考慮した上で追加の防寒対策について考えた方がいいかもしれない。個人的には、行列待ち1時間で同人誌購入がメーンであればカイロまでは必要ないと思う。

また忘れがちなのが水分補給。会場内は暑く、乾燥しているので喉が渇きやすい。自宅からペットボトルを持参するか、国際展示場駅近くのコンビ二で飲み物を忘れずに購入していこう。会場内の自動販売機にも長蛇の列ができるので、短い時間を有効に活用するためにも、水分補給だけはくれぐれも忘れずに。

手荷物は、夏よりも荷物のキャパシティは広めの方が吉。エコバッグや普段より大きめのバッグ持参などがおすすめだ。ちなみに、週間天気予報では、東京都は晴れか曇り時々晴れなので問題ないかもしれないが、雨や雪が万が一降った場合は周囲の迷惑になるので傘ではなく、合羽などを持参するとよいだろう。気象庁天気相談所によると、「コミックマーケット79」開催期間中における東京の天気(28日現在)は、29日が晴れ、30日が曇り時々晴れ、31日が曇り時々晴れ。東京の最高気温/最低気温(28日現在)は、29日が13度/7度、30日が10度/4度、31日が10度/4度で「平年と同じ」とのこと。

冬の行列待ちは夏ほど過酷な状況ではなく、コミケ初心者にはおすすめ。だからこそ、TPOにあわせた服装を心がけたい。最後に冬コミの荷物チェックリストを付記しておく。2011年を気持ちよく迎えるためにも忘れ物はないようにしよう!

最低限必要な冬コミの持ち物

  • カタログ …… 行くサークルだけ書き込んだ配置図を用意したほうが手荷物は軽くなります
  • Suicaなどの交通系電子マネー …… 駅は大変混雑するのでチャージはお忘れなく
  • ペットボトル …… 夏は2本用意したが冬は1本あれば基本は十分
  • マフラー、手袋、帽子 …… 適宜
  • コート …… かさばらないものが吉。できればフード付きを推奨
  • お金 …… 会場内のATMも混雑するので予定よりも少し多めに。1万円は1,000円札に崩してあげるとサークルさんが助かります。
  • バッグ …… 購入する同人誌の数によって異なる。初心者なら少し大きめのバッグで。コートをいれたいならエコバッグや紙袋なども用意
  • カイロなど …… 必要ない場合もあるので、自分のスケジュールと相談して
  • 携帯電話 …… 昔よりつながるようになりました。会場内の連絡用にお忘れなく
  • その他 …… 携帯ゲーム、文庫、マンガは行列待ち用。一箇所にとどまる時間は限られており、熱中しすぎるとコミケスタッフに注意されることもあります。手荷物もかさばるのでご注意を。あとは合羽などの雨具、スケッチブック、デジタルカメラなどは自分のスケジュールと勘案して決めましょう