アジア時間概況
アジア時間は総じて模様眺めの状態。株式市場も為替市場もそれぞれのリスクに対して警戒感を持っており、お互い牽制しながらの動きとなっている。
アイルランドの予算案が通過するのではないかという観測記事が現地の新聞で報じられ、ユーロは1.3350まで上昇するも、市場の懐疑的な地合いに加え、シュタルクECB理事がユーロの債務水準に対する懸念を出したことで、頭打ち状態となった。ドル円は、ユーロの上昇に加えドル売り興味が出たことで82.50以下のS/Lをつけたものの、クロス円の買いに支えられて82円台後半を維持している状態。そして、RBA(オーストラリア連邦準備銀行)は政策金利据え置きを決定。声明内容も中立スタンスの内容だったことから、市場へのインパクトはなかった。
株式市場は、円高を嫌って日本225は10100を瞬時割り込んだが、アジア株式市場が比較的堅調に推移したことで持ち直した。
本日の主要経済指標
・18:30 英国 : 10月鉱工業生産
・18:30 英国 : 10月製造業生産高
・20:00 ドイツ : 10月製造業受注
・23:00 カナダ : BOC(カナダ中銀)政策金利
・29:00 米国 : 10月消費者信用残高
要人発言
・27:15 ユーロ圏 : コンスタンシオECB副総裁の発言
欧米時間の見通し
今日の注目ポイントとしては、EU財務相会合とアイルランドの債務削減案の通過があるかどうかであろう。
市場では、アイルランドへの支援体制はできているものの、債務削減の実効性を今後見ていかなくてはならないことから、まだ慎重姿勢を崩していないと思われる。ユーロの債務問題についてはアイルランドだけではなく、ポルトガルへの支援の可能性、ギリシャの債務返済計画の練り直し、という話題もある。
先週後半のピークから見れば、問題視されている国の国債利回りは落ち着いているものの、水準は依然高いまま。昨日の水準より本日の国債利回りは若干上昇しており、市場の警戒感は払しょくできていない状態か。
そういった中でアイルランドの債務削減案が無事に通過できなければ、信用リスクが再燃する可能性はかなり高い。テクニカル的にもユーロの対ドルの水準は今年の安値から見れば38.2%、8月安値から見れば50%以下で推移しており、先週話題になった200日移動平均線(現状1.3120付近)との間に挟まれた状態。いずれかを抜けるまでは神経質な展開となりそうだ。
本日、ユーロ以外の話題としてはイギリスとドイツの経済指標ぐらいで、サプライズの数値が出てこない限り市場へのインパクトは少ないか。それ以外のリスク要因として、アジア時間から多少くすぶっている中国の金融引き締めがある。先週から中国側が徐々に『緩和』スタンスの変更を内外に発信していることから、市場への影響は少ないと思われるが、欧州不安があるだけに株式市場の動きによるリスクポジション圧縮が出る可能性はある。
また、NY時間の気になるポイントとしては、米債入札がある(日本時間午前3時)。昨日の3年債入札が意外に不調だったと市場はみており、改めて注意はしておいた方が良いか。