【今日のCFD】NY原油先物11月限
30日発表された米経済指標は、いずれも市場予測を上回る好結果となったことから、市場では景気に対する先行き不透明感が後退している。もちろん警戒感が全く無くなったわけではないものの、少なくとも米景気二番底シナリオを描くような一時の悲観的な状況の改善に比例し、投資家のリスク許容度も拡大している点は、エネルギー市場でも好感される可能性が高い。
実際、調整売りに終始した株式市場とは対照的に、原油相場は良好な経済指標に素直に反応し、一時は8月11日以来の80ドル台を回復する場面もみられた。これは金相場が活況を呈している影響もあるが、月末・四半期末決算を控えてのポジション調整に伴うショートカバーや、前日に発表された米原油・石油製品在庫が減少した影響が大きいだろう。
今後の注目点は、70~80ドルのボックスをブレイクし、80ドル台前半まで取引レンジを切り上げることができるかに尽きると思われる。
ただ、景気先行き不透明感の後退、ドル安・株高傾向などで、最近の原油相場の堅調地合を維持しているが、レンジの上限80.00を完全に突破し、更に上値追いの展開となるかは未だ不透明感が漂う。
その理由としてまず挙げられるのが、5月から続いている米国内の過剰在庫が、80ドル水準での上値を圧迫する傾向が強いことだろう。このため、市場では80ドル台回復後の上昇余地は限定的と見る向きも少なくない。
次に石油輸出国機構(OPEC)総会(10月14日)を控えているが、兼ねてから一部OPECメンバーは70~80ドルの価格水準を支持する声明も相次いでいることに加え、2009年以来、非公式に供給量を増やしてはいるものの、公式な生産目標は約2年にわたって変更されていない点にも注目したい。これら要因や思惑が複雑に絡み合い、敢えて現行のレンジを大きく逸脱する必要性が、現状では低いと思われる。
上記チャートを見ても、ボリンジャー・バンド上限にヒットしているだけでなく、RSIも70の水準を越えようとしており、今後売りシグナルが点灯する可能性を示唆している。 よって、80ドル以上は売り場探し、70~75ドルが押し目買いのポイントと考え、当面は70~80ドルのボックス相場が続く可能性が高いか。