人目に触れなれば意味がない
――前回はとにかくアウトプットすることが大事だとうかがいましたが、その他に大事なポイントはありますか?
アウトプットは質より量。と同時に自分以外の人に見てもらえるような環境で行うことも大事です。引き出しの中にしまっておく日記と、インターネット上で公開するブログを比べたら、ブログのほうが断然効果があります。
――他者からのフィードバックを得るということですね
私の書評ブログも、訪問者数やコメントはもちろんAmazonのアフィリエイトやTwitterなども駆使して、読者からのフィードバックを可視化しています。自分の記事に対してこれだけの反応があったという手ごたえが、さらによいものを生み出す原動力になるのです。 ところが一人でとるメモは他人からのフィードバックがない。メモを見返すことでまた別の発見をする場合もありますが、いかんせん読者が自分だけだと、その行為はあまりインセンティブ(奨励や刺激)にならないのです。こういった点をふまえると、現時点ではTwitterが最適なアウトプットツールだと思います。
制限のなかにも自由がある!
――Twitterのどんなところがいいのでしょうか?
他者からのフィードバックがあり、なおかつ140文字に制限されていることです。この制約があるために、人はよりクリエイティブになれる。素人が詩を書くことは難しくても、五七五に制限された川柳なら書けるといったことと同様です。
これはiPhoneやiPadがヒットした背景にもつながると思います。両者ともパソコンに比べるとずいぶん機能が制限されていますが、その中に入り込むととても自由。この感覚が受けたのです。
―― 一定の制限の中でこそ、人は創造性を発揮できると
私たちは自由に疲れていたんですよ。自由にメールが送れるようになったらスパムの山。簡単にウェブページをつくれるようになったら広告の山。しかし現代では「自由は素晴らしい」ということになっているので、誰もそれが悪いとは言えなかった。そんなところにiPhoneやiPadが「一定の制約を設けた世界」をつくり出したから、これほどまでに成功したのでしょう。
――Twitterは手軽なうえに、とても有益なアウトプットツールなのですね
慣れてくれば1,000回つぶやくことぐらい大したことはありませんよ。しかしこれを自分のメモ帳に書いていたら誰も知ることはない。つまり自分が成長する機会も得られないということです。
昔は世の中に何かを出そうとすると、相当なコストがかかりました。活版印刷技術が発明されたばかりの頃は、聖書か文法書、あるいは歴史書ぐらいしか出せなかったのですから。
しかし今は「くだらないオヤジギャグでどーしようもないなう」でも世に出せる(笑) こんな恩恵はありません。だから結果を得たければ結果を考えずに出せ。これに尽きます。
(撮影 : 中村浩二)
次回は、「手書きの特性」についてうかがいます。
INTERVIEWER PROFILE : 早川洋平 / KIQTAS(キクタス)
元中国新聞記者。2008年に始めた著者インタビューポッドキャスト「人生を変える 一冊」をきっかけに起業。現在は、企業や教育機関、公共機関などにポッドキャストを中核としたサービスを提供している。インタビュアーとしても精力的に活動、渡邉美樹さん、堀江貴文さん、石田衣良さん、寺島実郎さんらこれまでにインタビューした人物は1,000人を超える。
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