芥川賞作家・吉田修一のベストセラー小説を映画化した『悪人』(李相日監督、9月11日公開)のジャパンプレミアが2日、東京・丸の内の東京国際フォーラムで行われ、主演の妻夫木聡、共演の深津絵里、満島ひかりらが舞台挨拶に登壇した。

映画『悪人』のジャパンプレミアに出席した妻夫木聡(右)と深津絵里

映画化権をめぐり20社が争奪戦を繰り広げたという同作は、殺人を犯した孤独な男(妻夫木)と、殺人犯と許されない愛を貫こうとする女(深津)、被害者家族と加害者家族の善悪の葛藤を描き、事件の真相に迫りながら、一体誰が本当の"悪人"なのか? 見る者に問いかけていく。豪華キャストに加え、原作者の吉田と李監督が共同で脚本を、作曲家・久石譲が音楽を担当する。

昨年、主演を務めた大河ドラマ『天地人』でのイメージを一新。髪を金髪に染め、殺人犯の主人公を演じた妻夫木は、原作を読み自ら出演を切望したそうで、「ぜひ、(主人公に)立候補したいと思っていたら運良く演じることができました。これまでの役者人生の中で、やれることはすべて出し切った作品です!」と胸を張った。また、月9ドラマ『スローダンス』(2005年)、映画『ザ・マジックアワー』(2008年)に続き、3度目の共演となる深津の印象を「尊敬できる女優さんだと思っていましたが、今回は本当に根性のある女優さんだと思った」と語り、"悪人"を演じるにあたって、「事前に『失礼なことがあるかもしれませんが、そのときはすみません』と謝ったら、(深津に)『何されるの?』って言われました(笑)」と撮影前のエピソードを披露した。

タイトルの『悪人』にちなんで、自分は「○○人」か? というお題に対して、「仕事人」と回答した妻夫木は「本当は『天地人』と書きたかったんですが、李監督にぶっ飛ばされそうなので(笑)。意外と休んでいるので仕事をください」と会場を笑わせた 「モントリオール世界映画祭」への出品が決まった同作。映画『フラガール』で日本アカデミー賞を受賞した李監督は「これ以上、やれることはないというところまでやった作品。賞は"水物"なので、欲張らず自然体で迎えられたら」

続けて妻夫木が「実際にお芝居をしたら、大きな心で僕を受け止めてくれて、気を使わずに自由に芝居ができました」と感謝を述べると、深津も「根性だけはあるんです(笑)」と会場の笑いを誘い、「妻夫木さんは心がすごく優しくて、壁を一切作らない方なので、自然と心を開放できて演じやすかった。妻夫木さんの役に向かう覚悟や集中力を間近で見られて幸せでした」と、劇中、愛するがゆえに逃避行へ向かう2人だけに息の合ったコメントで応じていた。

映画『悪人』は、9月11日(土)より全国東宝系にて公開。