"妻"に焦点を当てて、その姿を公表されているデータから読み解く「妻の正体~データ編」。今回は妻たちの退職事情がテーマ。妻たちの多くが妊娠や出産をきっかけに「家庭に入る」のは、なぜなのか? 仕事と育児の両立はどういう面が難しいのだろうか?

そもそも出産後に仕事をやめる女性はどれくらいの割合でいるのだろうか? 国立社会保障・人口問題研究所が2008年に実施した「第4回全国家庭動向調査」の結果によると、第1子出産前後の女性の継続就業率は32.5%。つまり仕事をしていた妻のうち、3人に2人は子どもの誕生をきっかけに仕事をやめているという。ちなみに政府はこの継続就業率を2017年までに55%に引き上げることを目標にしている。

「仕事と育児の両立は難しい」というのはよく聞く話。仕事をやめる理由はやはりそこにあるのだろうか? 三菱UFJリサーチ&コンサルティングが2008年に行った調査(両立支援に係る諸問題に関する総合調査研究)では、妊娠・出産前後に仕事を辞めた理由が明らかになっている。

同調査結果のうち、「最初の子をもつ直前」に正社員だった女性の退職理由をみると、もっとも多かったのは「家事・育児に専念するため自発的にやめた」の39.0%。自分の新たなる"ステージ"として自ら専業主婦の道を選ぶ人は意外にいるようだ。次に多かったのはやはり「仕事を続けたかったが、仕事と育児の両立の難しさでやめた」の26.1%。「解雇された、退職勧奨された」(9.0%)や「子を持つ前と仕事の内容や責任が変わってしまい、やりがいを感じられなくなった」(2.6%)という回答もあった。

では、仕事をやめた女性たちが考える「仕事と育児の両立の難しさ」とは具体的にどんなものだろう? 「両立が難しかった具体的理由」でもっとも多かったのは「勤務時間があいそうもなかった」の65.4%。ほかでは「職場に両立を支援する雰囲気がなかった」(49.5%)、「自分の体力がもたなそうだった」(45.7%)、「育児休業を取れそうもなかった」(25.0%)などが多く挙がった。